新建ハウジングでは今年も「工務店未来会議」を、11月20~22日の3日間にわたって、東京ビッグサイト東展示棟内特設会場にて開催した。計26人の“賢人”たちが交わした議論から、今回は議事4の内容を一部紹介する。厳しくなる一方の住宅市場だが、工務店だからこそできる家づくりと経営で荒波を乗り切るヒントをつかんでいただきたい。
議事4 「上質な日本のすまい」を支えるつくり手の今と未来
“90と30”のバランスで上質な空間を
分業化で職人が誇りを失う危機
堀部安嗣建築設計事務所 代表 堀部 安嗣さん |
東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻准教授 権藤 智之さん |
議事4では、「上質な日本の住まい」を支えるつくり手の現状と未来について、堀部安嗣さん(堀部安嗣建築設計事務所代表)と権藤智之さん(東京大学大学院准教授)が議論を交わした。
堀部さんは「上質な住まい」を五感に訴える総合的な快適性として捉え、視覚だけでなく嗅覚、触覚、温熱環境などを含む設計の重要性を強調した。その中で空間を「90エリア(安定した快適エリア)」と「30エリア(不安定な快適エリア)」に分け、それぞれの役割を説明した。「90エリアは高断熱・高気密を実現し、省エネ性能を高めながら安心して過ごせる空間を提供する」ためのもの。具体例として寒冷地のリビングを挙げ、「外気の影響を受けない安定した空間は健康や快適性を支えるシェルターとして機能する」と述べた。
一方で「30エリアのように不安定な環境で、風や光、匂いといった自然の要素を感じることが、感覚を豊かにし、新鮮さをもたらす」と語った。例えば・・・
この記事の続きは新建ハウジング12月10日号9面(2024年12月10日発行)に掲載しています。
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