ヤエワークス(香川県三豊市)は、工務店としてのノウハウや建築のスキルを生かして、地域のさまざまな人・企業との関係性を構築・拡大しながら、まちづくりにつながる事業を展開する。県内の建設会社・工務店で30年以上、設計や現場管理、住宅・施設建築部門の立ち上げなどに携わってきた同社代表の竹田徳さんは「キャリアの終盤は大好きな建築の仕事を楽しみながら、生まれ育った地元を元気にして、若者が『ここで暮らしたい、帰ってきたい』と思えるまちにしたい」と理想を描く。【編集部 関卓実】
左:ヤエワークス代表の竹田徳さん 右:オフィスのガラス戸に書かれた竹田さんの「マインドマップ」。地元の人や企業との関係性の広がりにあわせて、固定観念や既存の枠組みを超えて事業がアメーバ状に拡大していくイメージ |
同社は、竹田さんと東京都内で長年にわたり、店舗デザイン・プロデュース業に携わってきたデザイナーの山上武徳さんが共同で2021年に設立。設立にあわせて、綾川町内の自社でリノベーションした店舗に、直営のカレー専門店「ヤエ食堂」をオープンした。
その店の一角で、店舗デザイン・リノベーションや住宅の新築・リノベーションなどを手がける工務店としての存在を「さりげなく知らせる」(竹田さん)ところから建築・住宅事業をスタート。竹田さんが思い描いた通り、ヤエ食堂への来店者のなかから「こんな雰囲気のお店にしたいが相談に乗ってもらえるか」といった地元の、さまざまな業種の店舗経営者から声がかかるようになった。
クライアントの店舗をヤエワークスブランドに
竹田さんは設立時に「デザインの点と点がつながりまちになる」と掲げた自社のコンセプトに基づき、ただ店舗リノベの設計・施工を受注するのではなく、デザイン性などに対する建築的な世界観に加えて「店舗運営を通じて、地元を面白くしたい、豊かにしたい」という価値観を共有できるクライアントと“パートナー”としてリノベ事業を実施。
引き渡し後は、共感・賛同を得たクライアントを「チームヤエワークス」(ゆるやかな事業パートナーシップ)のメンバーに迎え入れ、へアサロン「テラス」やセレクトショップ「イーラ」、ドッグサロン「海街まろん」などのようにクライアントが運営する店舗を自社のホームページに掲載し、ヤエワークスブランドとして一体的にブランディングしている。
竹田さんは「もちろん各社のシナジーによってそれぞれの認知度拡大や顧客数の増加を期待してはいるが、それ以上に、こうした協働によるブランディングがこれからの地方における小さな企業体のプロモーション戦略と生き残り策の最適解になるのではないか」と見る。
手がける店舗の広がりにあわせて、自然に住宅の依頼も増加。設立から4年目となる今年は・・・
この記事は新建ハウジング12月10日号4・5面(2024年12月10日発行)に掲載しています。
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