梅村工務店(愛知県豊田市)は、JIN建築工房一級建築士事務所(名古屋市)の技術支援を受けながら、本社敷地内で来年3月の完成を目指し、築60年の古民家のフルリノベーションを進める。断熱等級7、新築と同じ許容応力度計算により耐震等級3相当まで性能を引き上げ、完成後はモデルハウスやオフィスなどとして運用する。代表の梅村裕子さんは「新築の価格上昇などを受け、既存住宅の活用を選択肢として検討する人が増えている。一方で、リノベによって何ができるのか、コストはどれぐらいかかるのかを明確にイメージできている人は少ない」と話す。常設モデルを拠点に“体感”も含めて既存活用+リノベの効果や価値をわかりやすく伝えながら需要を掘り起こし、変化・多様化する地域の住まいのニーズに応えていく考えだ。【編集部 関卓実】
同社は、断熱等級6・C値0.2㎠/㎡・耐震等級3(許容応力度計算)、認定長期優良住宅を全棟標準として新築事業を主力に展開するが、梅村さんによれば「ここ1~2年は明らかに新築の引き合いや集客は落ち込んでいる」。その一因として「この辺(豊田市および周辺部)で土地を取得して住宅を新築するとなると7000万円を超える」という価格の上昇があるとみる。
それを裏付けるように最近では、それまで新築を検討していた顧客が、予算を理由に中古取得+リノベに切り替えるといったケースも。「中古住宅の活用を検討しているが一緒に物件を確認してほしい」、「一人暮らしをしていた祖母が施設に入った後の家をリフォームして住みたい」といった相談も増えている。
ただ、そうした相談・依頼が増えている一方で、「古い建物をリノベでどんなふうにできるのか」、「どれぐらい住み続けることができるのか」、「お金をかける価値があるのか」といった声も少なくなく、同社ではストック活用・リノベ事業強化の方針を固めつつ、その内容や効果・価値などをわかりやすく提案する方法を模索していた。
リノベのノウハウ確立 新築の仕様もアップデート
そんなタイミングで、本社敷地内にあり、貸家や建て替え時の施主の仮住まいとして使っていた「ひかり荘」が空いたことから、社内で協議した結果、リノベのモデルハウスとすることを決めた。
ひかり荘は、梅村さんの祖父(先々代)と父(先代)が建てた梅村さんの生家でもある。リノベのコンセプトとして、・・・
この記事は新建ハウジング12月10日号3面(2024年12月10日発行)に掲載しています。
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