パナソニック(東京都港区)は12月3日、同社の英国工場で純水素型燃料電池・太陽電池・蓄電池を組み合わせた自家発電設備の実証実験を開始したと発表した。工場で必要とされる電力のすべてを再生可能エネルギーで供給することを目指す。また今回の実証実験で用いる再エネソリューションを「Panasonic HX」と命名。英語・ドイツ語・日本語の3カ国語に対応したWebサイトを公開した。
「Panasonic HX」は、太陽電池などの電力供給が不安定な再生可能エネルギーに純水素型燃料電池と蓄電池を組み合わせ、効率的かつ安定的な電力供給を実現する発電システム。純水素型燃料電池とAIを活用したエネルギーマネジメントシステム(EMS)を一体化することで、必要な時に水素を電気と熱に変換し、必要されるだけの電力量を供給する。水素燃料電池は連結することで、最大2500kW(250台連結)の電力が供給できる。
グリーン水素使用でゼロエミ化
パナソニック・マニュファクチャリング・イギリス(以下、PMUK社)では、5kWタイプの純水素型燃料電池21台を導入した。372kWの太陽電池、1MWhの蓄電池との組み合わせにより、晴天時には太陽光で発電、曇天・雨天などで十分な電力が供給できない場合は水素燃料電池や蓄電池で不足分を補う仕組みとなっている。電池を連携制御することで運転時間が平準化され、無停電メンテナンスも可能。水素は英国内で再生可能エネルギーを使って製造されたグリーン水素を使用する。
純水素型燃料電池の発電時に発生する熱は「水循環型空調」の予熱などで活用。工場内の暖房や給湯に利用することで消費電力の低減を図る。さらにEMSで現地の気象予報データを取り込み、気象変化や需要変動といった電力需給バランスに関するデータを蓄積。AIによりEMSを高度化させることでエネルギーの需給調整技術の向上を目指す。
今回の実証実験について、同社は「環境先進地域である欧州諸国内で、工場の電力を100%再生可能エネルギーで賄う取り組みは初の試みとなる。地域特性に最適なソリューションの実現を目指し、来るべき水素社会やカーボンニュートラルの実現に向けて取り組みたい」とコメントしている。
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