バリアフリーな宿泊施設紹介　ポータルサイト「IKKEL」オープン

2024年12月4日 15:31

「車いすの建築士」として漫画や映画のモデルになったことでも知られる阿部建設（愛知県名古屋市）社長の阿部一雄さんが構想を練り、建築・福祉・観光分野などの団体・企業の協力を得て立ち上げたバリアフリーな宿泊施設の情報を掲載するポータルサイト「IKKEL（イッケル）」がオープンした。サイトでは、障害者や高齢者が安心して旅行を楽しめるように、宿泊施設のバリアフリーの現状を紹介。3D画像によって、宿泊しようとする人が自ら建物や部屋の状況を調べられるのが大きな特徴だ。サイトの運営主体は、阿部さんが代表理事を務める一般社団法人のバリアフリー総合研究所・UD-ラボ東海。

建築・福祉・観光分野など、さまざまな企業・団体の協力を受けて「IKKEL」を実現した阿部さん。「バリアフリーを求める人の旅を、より自由で豊かなものにしていきたい」とビジョンを描く

バイク事故で障害を負い、車いすで生活する阿部さんは「ホテルなどで“バリアフリー対応”と記載されていたとしても、自分が快適に利用できる環境かは不明確で、情報とのギャップやジレンマを感じる人は多い」とし、「障害者や高齢者など宿泊の際にサポートを必要とする人やその家族が求めている情報は検索をしても得られにくい」と指摘する。

IKKELでは、サポートを必要とする人を歓迎する宿泊施設を掲載したうえで、詳細な文字情報や3Dのウォークスルー画像によって施設や客室の段差や通路幅、トイレ・浴室のサイズ、福祉器具、嚥下食や介護ヘルパー派遣の相談の有無など「自分で確認できる」のが大きな特徴だ。

ウォークスルー画像は360度DVR撮影による「マターポート」によって生成したもので、スマホやパソコン、タブレットなどのデバイスで3D空間を閲覧しながら、測定モードの活用によって、客室やトイレ、浴室のドアなど知りたい箇所の寸法を測ることができる。なお、同サイトは、バリアフリーを中心に施設情報を紹介する機能に特化しており、宿泊予約の機能はない。

宿泊施設のバリアフリーの現状に関しては、NPO法人・日本バリアフリーコーディネーター協会が建築士を対象に資格認定を行う「バリアフリーコーディネーター」が実際に施設を訪れて、施設や設備に関するバリアフリー機能をはじめ、提供するサービスやホスピタリティまでチェックした情報を掲載。建築士でもあるバリアフリーコーディネーターは施設の管理者などから要請があれば、バリアフリー化のアドバイスや設計・施工の対応も可能だ。

阿部さんは「施設側は適切なバリアフリー化によって、より多くの人に快適に利用してもらうことができ、障害者や高齢者は施設選びの選択肢が広がり、建築士にはビジネス機会が広がる」と説明する。

※続きは、12月10日に発行する新建ハウジングタブロイド判（12月10日号）に掲載します。定期購読者は紙面ビューアーでもお読みいただけます。お楽しみに。