中小企業庁は11月29日、2024年「価格交渉促進月間(9月)」のフォローアップ調査結果を公表した。これによると全体の価格転嫁率は49.7%で、今年3月時点より約3ポイント増加。発注側企業からの申し入れで価格交渉が行われた割合も約2ポイント増の28.3%となった。価格転嫁ができている割合が高いほど、受注者の賃上げ率も高いといった傾向も見られた。
この調査は、毎年3月と9月の「価格交渉促進月間」に実施するアンケート調査(回答数5万1282社)結果と、下請Gメンによるヒアリング(約2000社)結果をまとめたもの。
価格交渉の状況については、「価格交渉が行われた」割合が86.4%となり、前回調査から1.2ポイント増加。「価格交渉が行われなかった」「価格交渉を希望したが交渉できなかった」はともに減少している。価格交渉に応じた業種別ランキングでは、「建設業」は7.15ポイントとなり、前回の14位から7位に上昇。「建材・住宅設備」は6.68ポイントで17位から16位に上がった。全業種平均は6.75ポイントだった。
4割超が労務費の転嫁を実現
どの程度の価格転嫁が行えたかについては、「全額転嫁できた」が25.5%(同2.9ポイント増)、「一部でも転嫁できた」が79.9%(2.7ポイント増)となりいずれも増加。コスト要素別の転嫁率は「原材料費」が前回調査の47.4%から51.4%に、「エネルギー費」が40.4%から44.4%に、「労務費」が40.0%から44.7%にそれぞれ上昇している。
転嫁率の業種別ランキングでは、「建設業」は50.3%で12位に。要素別では「原材料費」(51.6%)、「エネルギー費」(40.6%)、「労務費」(47.4%)となり、いずれも前回調査から増えた。「建材・住宅設備」の転嫁率は51.6%で9位。「原材料費」(51.6%)、「エネルギー費」(44.9%)、「労務費」(42.8%)となっている。
建設業の個別回答では、「国土交通省の公共工事設計労務単価で適正価格・必要経費を提示して交渉したところ、ほぼ満額の回答をもらえた」との声があった一方で、「資料を持参して交渉したが、回答をもらえなかった」「他の業者に発注するなどと言われ、交渉を拒否された」といった声も聞かれた。
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