ミヤワキホーム(ミヤワキ建設、富山県高岡市)の創業は1973年だが、歴史をさかのぼると100年以上前につくられた神社の額に、棟梁として祖先の名が刻まれているという。現社長の宮脇友基さんも、地域の家を守り続けるという心意気は変わらない。商圏を車で30分以内のエリアに絞り、住まいのあらゆる悩みを解決する存在として、地域の役に立ち続けている。【編集部 荒井隆大】
先代(父)の時代は“村にある建物の半分は宮脇が手がけた”というほど地域に根付いた存在だった。宮脇さんも創業者の祖父、その後を継いだ父が築いてきた地域からの信頼を感じ「後を継ぐんだとうっすらと思っていた」。
高校卒業後は、大学で財務・会計を専攻し、大学院にも進んだ。当時は税理士になって「弟が会社を継いで自分が支える」ことを考えていたという。大学院修了後は東京のコンサルティング会社に就職した。
3年後の2010年、両親から「会社を継いでほしい」という希望を打ち明けられる。「いよいよこの日が来たな」。宮脇さんは家業を継ぐための修行として、東北の工務店へと転職した。
東北で3年半の修行生活 東日本大震災も経験
転職先の工務店では営業に配属された。初めてのBtoC営業で、なかなか受注を獲得できず苦戦。「生活者は気持ちや感情が行動の要因になる。コンサルのロジカルな思考ではお客様を動かすことができない」ことを、身をもって理解した。
在籍中には東日本大震災も経験した。当日は太平洋沿岸地域に行く予定があり「出かけていたら今、ここにはいないはずだった」が、直前で予定はキャンセルに。未曽有の大災害を経験した記憶から、今でも生活者向けの耐震セミナーを、毎月欠かさず開催している。
東北での生活は震災を挟んで3年半に及んだが、2013年、富山に戻り同社に入社した。レベルの高い社員がそろう自社の優秀さを認識しつつ、将来を見据えて新卒採用やDXなど改革をこつこつ進めていった。
同級生の一言が設計への目を拓く
同社は2016年のグッドデザイン賞を皮切りに、18年にはウッドデザイン賞、19年にはキッズデザイン賞を受賞している。幅広いデザイン力の源は、宮脇さんのちょっとした体験にある。
富山に戻って数年。ある日・・・
この記事は新建ハウジング11月30日号8面(2024年11月30日発行)に掲載しています。
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