群馬県高崎市の郊外にある築30年ほどの住宅が、新たな住まい手を探している。この住宅を設計したのは丸谷博男+エーアンドエーで、担当は当時の所員・伊礼智さん(伊礼智設計室)。築年数による評価へのアンチテーゼとして“建築としての価値を評価に反映”させながら受け継いでもらうことを目指す。11月9・10日には見学会が開かれ丸谷さん、伊礼さんが当時の思い出などを語った。【編集長 荒井隆大】
このほど売りに出されたのは、1995年竣工の「吉井町の家」。施工は小林建設(埼玉県本庄市)が担当した。建て主は当時、子どもが独立し、2人だけで暮らすための住まいを求めている夫婦だった。丸谷さんは「終の棲家の理想的なプロトタイプ」としてこの住宅を設計したという。
「吉井町の家」外観。夫婦の“終の棲家”として、ほぼ平屋のプランで設計された |
見学会当日は建築家や工務店のほか、一般の人々も参加した |
中央に階段を配し、その両側にLDKと寝室、奥に浴室とトイレを配置して、1階全体をぐるりと一周できる動線を確保。2階は子どもが家族で訪れた際などに使う和室を置いた。
キッチンのカウンターは当初コの字型だったが、途中で建て主の妻が病気で入院。リビングとの行き来を楽にしようと、一部を現場でカットして「突き当たり」をなくした。書斎を兼ねる寝室は、広縁の役割も果たす玄関に面する。窓際に設けた机は・・・
この記事は新建ハウジング11月30日号1面(2024年11月30日発行)に掲載しています。
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