東京商工リサーチ(東京都千代田区)は11月20日、2023年度の売上高100億円以上の「主要戸建メーカー、ハウスビルダー」115社の動向調査の結果を発表した。最新期(2023年度)の売上高合計は、前年度比3.8%増の8兆1214億円と3年連続上昇し、初の8兆円台となった。利益も17.8%増の4728億円と、売上高とともに過去5年間で最高水準を記録し、増収増益となった。
2023年度の新設住宅着工戸数のうち、持家と分譲戸建ては、35万3237戸と前年度から1割減少(9.9%減)したが、不動産価格の上昇や資材等のコスト増が価格転嫁につながり、業績を引き上げたかたち。
一方で、売上高の増減収別では、増収が66社(構成比57.3%)、減収は49社(同42.6%)だった。増収企業率は2期連続7割近くで推移してきたが、2023年度は増収企業が11社減少し6割を割り込んだ。
業績好調な企業が増収幅を伸ばす一方で、成長が鈍化している企業が増えていることがわかる。増減益別では、増益が51社(44.3%)、減益が64社(55.6%)で、2期連続で減益企業が増益企業を上回った。価格転嫁が進んだものの、ターゲット顧客や営業エリアなどにより明暗がわかれた。赤字企業数は14社から7社(構成比6.0%)と半減した。
2020年度のコロナ禍以降、住宅市場は大都市圏で底堅い需要が推移する一方、郊外では価格高騰で需給バランスが崩れ、苦戦する企業が顕在化。今後の金利上昇局面における動向も不透明のなか、地域密着の中堅業者で倒産が目立つようになった。同社は、付加価値のある商品開発が求められると同時に、スケールメリットやシナジー効果を狙った合従連衡、M&Aが活発になると予想している。
売上高別では、1兆円以上が1社、1000億円以上が17社(構成比14.7%)で、全国展開の大手が中心。トップは積水ハウスの1兆2834億円(前期比6.6%増)、2位はオープンハウス・ディベロップメントの5332億円(23.1%増)、3位は住友林業の5145億円(3.0%減)だった。オープンハウス系列が高い営業力で急成長している。また、上位20位のうち、6社(一建設、アーネストワン、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アイディホーム)が飯田グループホールディングスの連結子会社で、売上高の合計は約1兆3000億円にのぼる。
同調査は、TSR企業データベース(約390万社)から、戸建て住宅の建築や分譲が主力事業の企業を対象に、2023年度の売上高が100億円以上、5期連続で売上高と利益が比較可能な115社を抽出、分析したもの。2023年度決算を最新期とした。
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