今回は、BIM関連ツールとしては少々マニアックなツールになりますが、MAKE HOUSE独自開発の業界初(そしておそらく唯一の)プレカットCADデータを、BIMデータに変換するツールをご紹介します。
「NEIFコンバーター」というものがそのツールの名称なのですが、機能としてはネットイーグルのプレカットCADのデータを、Autodesk Revit®に変換して取り込むものです。
プレカットCADは、木材を自動で加工するプレカット工作機械を作動させるための製造用CADですが、内部のデータは3D形状を持っているわけではなく、機械を動作させる手順が書いてあるようなもの(と思ってください。解説だけで何ページも必要になります…)です。当社は、開発元のネットイーグルと共同でデータを変換するツールを開発しました。
少し技術的な話をしますが、Autodesk Revit®に取り込む手法に、①ファミリとして取り込む方法、②形状だけ取り込む(DirectShapeといいます)方法――が考えられますが、両方とも作成し、テストした結果、①はマテリアルや属性データが付加できるなどRevitで作業する上での利便性が担保できますが、ファイルサイズが重くなり追従してこない部材がありました。
②はマテリアルや属性データが付加できませんが、ファミリの1/100以下のファイルサイズで取り回しやすいという特徴があります。
変換をしたいというユーザー様の使用目的が「BIMソフト(Revit)を使って構造図を作成する」ということであれば、①のファミリ化が適しています。「形状を確認したり、意匠モデルと合わせて干渉チェックしたりする」ということであれば、②のDirectShape形式が適しています(ちょうど前回のコラムで干渉チェックの話をしたので再度ご確認いただければと思います)。
ここでどちらかを選択する場合に、重要な判断材料となるのは「業務フロー」です。当社の親会社であるエヌ・シー・エヌでは、SE構法という木造の構造システムを開発・運用・販売しておりますが、同構法は独自の構造計算ソフトWOLFとSE-CADというプレカットCADを連携させる(こちらの連携も業界初といえます)構法システムです。
構造計算書・構造伏図・プレカット図等の設計図書は、WOLFもしくはSE-CADから自動で出図されます。すでにできているものをわざわざもう一度BIMソフトで作成するのは意味がありませんので、①ファミリ化してBIMソフトに取り込み、BIMソフトから構造図を出図するというルートは消えるわけです。
以上の理由で、現在は②を採用しております。主なユースケースとして、設計事務所・ゼネコンが実施設計時に干渉チェックを行いたいという理由から変換サービスをご利用いただくケースと、ハウスメーカーやプレカット工場が変換ツールを導入して自社で活用するケースの2パターンが現状多いです。
ただ、①ができないわけではなく(一度は作成しましたが、現在はお蔵入りしています)、ご要望があれば復活するかもしれません。その際の想定用途としては、構造図・伏図をRevitに取り込むのではなく、「木材データそのものを維持管理BIMに取り込みたい」、「意匠モデル上に見える『あらわし部材』の木材を3Dパースなどでレンダリングしたい」といったケースが挙げられるでしょう。
本ツールについてご興味のある方はぜひお問い合わせください。詳しくはウェブサイトをご覧ください。
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