公正取引委員会および経済産業省・中小企業庁はこのほど、下請取引の適正化を推進するため、各関係事業者団体約1700団体に対して、下請代金支払などの適正化や価格転嫁の実現に向けた取組を要請した。
各団体に送付した文書では、物価上昇や景気の下押しリスクといった状況が長期化し、中小企業・小規模事業者に大きな影響が出ていることを理由に、親事業者に対して下請代金を早期かつ可能な限り現金で支払うよう要請。下請事業者の置かれている取引環境を理解し、年末の資金繰りに支障を来すことのないよう配慮を呼び掛けた。
また、下請法に基づき親事業者が遵守すべき事項として、下請事業者に物品の製造や修理などを委託する場合に下請事業者に対して、注文の内容、下請代金の額、支払期日、支払方法などを明記した注文書を交付することを明示。下請代金の支払期日は、下請事業者から物品などを受領した日から60日以内の、できる限り短い期間内に定めることを求めた。
さらに、親事業者の禁止行為として次の11項目を挙げ、下請事業者に不当なしわ寄せが及ぶことのないよう、親事業者となる団体会員に対して周知徹底を要請している。
【参考】親事業者の禁止行為
①受領拒否:納品されたものの受領を拒むこと(※注文通りではなかった場合を除く)
②下請代金の支払遅延:社内の事務処理の遅れなどを理由に下請代金の支払いを遅延すること
③下請代金の減額:下請事業者に責任がないにも関わらず発注後に下請代金を減額すること
④返品:物品を受領後、下請事業者に引き取らせること
⑤買いたたき:著しく低い下請代金を不当に定めること
⑥物の購入強制・役務の利用強制:自社製品や余剰材料などを下請事業者に購入させたり役務を強制させたりすること
⑦報復措置:下請事業者が公正取引委員会・中小企業庁に違反行為を知らせたことを理由に取引を停止するなどの不利益な取扱いをすること
⑧対価の早期決済:親事業者が支給する原材料を用いて下請事業者が製造・修理した際、下請代金の支払期日より早い時期に原材料の代金を支払わせたり、下請代金から控除したりすること
⑨割引困難な手形の交付:下請代金の支払期日までに金融機関による割引を受けることができない手形を交付すること
⑩不当な利益提供の要請:下請事業者に経済上の利益を提供させること
⑪不当な給付内容の変更・やり直し:下請事業者に責任がないにも関わらず、納期の前倒しや納期変更を伴わない追加作業などの発注内容の変更、やり直しをさせること
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