厚生労働省は11月22日、高齢者の労働災害を防ぐ環境整備を企業の努力義務とする方針を決めた。人手不足を背景に働く高齢者が増えており、手すりや照明の設置、適切な作業管理などによって労災リスクを減らすよう求める。来年の通常国会に労働安全衛生法改正案の提出を目指す。
同日の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会で労災防止に関する報告書案を示した。同省によると、60歳以上の労災発生率は20代平均と比べ、男性は墜落・転落が約4倍、女性は転倒による骨折が約15倍に上った。法改正により事業者に対応を促すとともに、労災防止策の事例を示した指針を作成する。
65歳以上の就業者数は2023年に過去最多の914万人。労災で死傷する高齢者も年々増加し、23年は60歳以上が3万9702人と全体の約3割を占めた。
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