大和ハウス工業(大阪市)は11月19日、「(仮称)大阪マルビル建替プロジェクト」を本格始動すると発表した。工期は2025年冬~2030年。開業は2030年の予定。
1976年竣工の「大阪マルビル」(大阪市北区)は、ホテルおよびテナントビルで構成された、地下4階・地上30階建ての円筒形超高層ビル。敷地面積は約3246㎡、延べ面積4万1069.4㎡、高さ124m。円筒形のユニークな形状がランドマークとして親しまれてきたが、建物・設備の老朽化や周辺施設との競争力低下が課題となってきたことから、2022年5月に建て替えが決定、2024年9月に地上部分の解体を完工した。
同プロジェクトでは、高さ約192m、地下4階・地上40階の複合ビルの開発を計画。ホテルやオフィス、コンサートホール・舞台、商業施設などで構成され、賑わい創出の場、文化交流の場としての役割も担っていく。
建物は、遮断熱性能を向上させるとともに、自然エネルギーや省エネ技術を採用することで、ZEB認証の取得を目指す。内外装への木材利用を進め、CO2の固定化や森林資源循環などに貢献。BCP対策のため、非常用発電機やコージェネレーションシステム、雑用水利用などによる電力や水のバックアップも行える。
外観は大阪マルビルの形状を継承。円筒形状はガラスカーテンウォールで構成し、外装には緑化ルーバー、地上には半屋外の屋根下空間「ピロティ」を計画している。また、地下2階から地上4階までの球体デジタルアトリウムを施設内に形成し、デジタル映像を360度投影。ピロティから球体アトリウム、地下街へとつなげることで、地下から地上、まちへと賑わいをつなぐ新たなスポットとしていく。また、大阪マルビルの「回る電光掲示板」継承に向け、建物頂部に大阪駅周辺からも視認可能なデザインを検討している。
ホテルは、ラグジュアリーホテルや都市型ホテルを誘致し、総客室数約280室を計画。オフィスは、多種多様な人や情報が集まるワークスペースを設置し、入居するスタートアップの成長を支援するプログラムやコミュニティの提供を検討している。コンサートホール・舞台は、クラシックコンサートを主にしながら、舞台・客席の規模を変更できる設備を採用するという。
同プロジェクトでは、都市再生特別地区の制度を活用。宿泊・文化・イノベーション・集客・交流機能等の集積を図り、国際競争力向上に資する施設整備を行う。高さ60m超えの超高層ビルとしては、国内最多の用途が複合する施設になるという。
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