政府は11月11日、建築物のライフサイクルカーボン削減に関する関係省庁連絡会議の初会合を開催。建築物に使用する資材の製造過程から解体までの全サイクルで発生するCO2の削減を計画的に推進するため、制度化に向けた議論を開始した。
まずは、ゼロカーボン推進会議での議論結果や方針をもとに基本構想について議論。主要関係業界の協力を得て、環境認証ラベル(EPDなど)の整備が必要な建材・設備の洗い出しを行い、CO2原単位での整備を加速化させる。
建築物のライフサイクルカーボン削減に向けた基本構想では、▽カーボンニュートラルの実現に向けた建築物脱炭素化の必要性▽LCAに係る国際協調・戦略▽有価証券報告書におけるサステナビリティ開示との連携▽金融との連携▽GX推進政策との連携―などの各項目について年内にも整理を行う。
さらに建築物LCAの制度化に向け、算定方法やCO2排出量水準の考え方、制度化のスケジュールなどを確認。公共発注での率先的な実施やグリーン購入法の活用など、公共建築物でLCA実施を促進するための方策についても検討する。
エンボディドカーボンの削減へ
国土交通省が今回提示した資料によると、世界のCO2排出量のうち建築物関係が37%を占めている。このうちオペレーショナルカーボン(建築物使用での排出)は、省エネ対策により一定の削減効果が出ているが、今後はエンボディドカーボン(建設・維持管理・解体段階での排出)についても削減に向けた対策が必要となっている。
これまでの取り組みでは、国際社会や次世代に通用する質の高い建築ストックの確保に向け、2022年に産官学連携によりゼロカーボンビル推進会議を設置。LCA手法やCO2原単位整備のあり方などについて検討を行っている。その成果の一つとして、この10月に日本独自のホールライフカーボン算定ツール「J-CAT」の正式版が公開された。
他に、環境負荷低減に配慮した官庁施設の整備に向け、技術的支援を行うための支援チームを設置。「官庁施設の環境保全性基準」改定によるエネルギー消費性能の規定、先進事例をまとめた「公共建築物(庁舎)におけるZEB事例集」の発行などにも取り組んでいる。
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