国土交通省・国土技術政策総合研究所(国総研)は11月15日、「能登半島地震建築物被害調査等報告」(速報)を公表し、被災者の住宅再建・地域復興への動向について報告。この中で住宅関連データからみた被災者の実態や被災前に住んでいた住宅の特徴、生活再建のために必要な住宅支援などについてまとめている。
木造・戸建て、築30年程度が大半
まず、被災した地域の特徴として、高齢化や人口減少、世帯減少のスピードが全国平均よりも速い自治体が多かったことを指摘。中でも被害が大きかった奥能登の自治体は、高齢単独世帯や高齢夫婦のみ世帯の比率が全国平均よりも高く、2020年の時点で2050年人口が当時の半数以下になることが予想されていた。
被災自治体の住宅ストックは、その大半が木造・戸建て住宅で、建築時期は築30年程度の住宅が多かった。このうち高齢者世帯の居住する住宅は、延べ面積が150㎡以上の大規模住宅が占める割合が高かった。また、売却用や賃貸用ではない「その他の空き家」の割合が高い一方で、賃貸用の空き家は全国平均よりも低い割合となっている。
住まいの復興を担う建築技師の数については、「0人」との回答が12自治体で最多。次いで、「3~4人」(9自治体)、「1~2人」(8自治体)、「5~9人」と「20人以上」(各7自治体)の順となっている。被害規模の大きかった輪島市や珠洲市では各「4人」だった。
仮設住宅建設に9団体が協力
自らの資力では住宅を確保することができない住宅被災者に対しては、応急仮設住宅を供与。その対象者は、①住宅が全壊・全焼・流失し、居住する住宅がない者、②半壊であっても、住宅として再利用できない者―などとなっている。
今回提供された建設型応急住宅のタイプは、▽従来型・プレハブ(内灘町)▽従来型・トレーラーハウス(志賀町)▽まちづくり型・木造(輪島市)▽ふるさと回帰型・木造(穴水町)の4種類。このうち「まちづくり型」は、被災前の集落内の空地に戸建風の住宅を建設した。
応急仮設住宅の建設に関する基本協定を石川県と締結した建築関係団体は、プレハブ建築協会、日本ムービングハウス協会、日本RV・トレーラーハウス、石川県木造住宅協会、全国木造建設事業協会、日本ログハウス協会、石川県建団連、日本モバイル建築協会、日本木造住宅産業協会の9団体だった。
住宅復興に向けた主な支援制度については、応急修理、解体・撤去、建設・購入、補修、賃借、耐震改修、宅地の復旧などに係る費用に対し、給付または貸付(低利融資)などの支援が行われている。
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