Wさんが社長を務める工務店では、ベース部分と立ち上がり部分を一度で打設する、「ベタ基礎一体打ち」を採用している。しかし、ある現場では敷地条件を考慮して2回に分けて打ち継ぐ方法を用いることに。これを知った建て主が「一体打ちがいいというから契約したのに!」と大激怒。【住宅ライター:渡辺圭彦】
Wさんは現場監督を経験して独立し、現在の工務店を立ち上げた。施工精度は特に重視しており、使用する建材や工法についても細やかに吟味したうえで選んでいる。
基礎には「ベタ基礎一体工法」を採用しているのも設立当初からの仕様だ。「打ち継ぎがないので強度が高い」、「打ち継ぎ部からの浸水、シロアリの侵入がない」、「作業工程が短縮できる」などの面でメリットがあると判断し、自社のサイトでもアピールポイントのひとつとしている。
「基礎工事の会社と二人三脚で取り組んで、自信をもってお客様にお勧めできる品質にまで高めることができた。当社の強みだと思っています」とWさん。
「一体工法がいいと聞いていたのに!」
ただし、2回打ちよりも、一度に打設するコンクリートの量が多いのでミキサー車が入れない敷地では難しい。また変形敷地や高低差のある敷地では、打設が困難な場合もある。今回トラブルとなった建て主の敷地も、まさにそんなケースだった。
傾斜地にある旗竿敷地で、しかも前面道路も狭く、小型のミキサー車しか使えない。Wさんは2回打ちにしたほうが品質を確保できると判断した。「ただ、お客様にそのことを伝え忘れていたんですよねえ…」(Wさん)。
当日、見学に来た建て主は、打設の様子が聞いていたものと違うことにすぐに気づいた・・・
この記事は新建ハウジング11月20日号8面(2024年11月20日発行)に掲載しています。
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