PASSIVE DESIGN COME HOME(愛知県名古屋市)社長の木村真二さんは、建築家・岸和郎さんの空間構成やディテールを、図面集として工務店向けに提案する「パッシブモダンプロジェクト」に取り組む。岸さんが得意とする正統的なモダンデザインの空間構成を、同社が高断熱やパッシブデザインに適した形に発展させることを試みる。市場でも人気が高まっているモダンデザインの住宅に、断熱などの性能向上を組み込むことをこれまでにない付加価値として、工務店に提案していく。
断熱やパッシブデザインの技術面は、大学院の学生として岸さんの教えを受けた木村さんがバックアップし、工務店が設計・施工することを前提として監修する。提供されるのは住宅商品のように1棟全体の設計ではなく、あくまで設計時に参考として活用するためのケーススタディ案として提供することを想定している。販売価格は130万円で、売り上げの一部は来年、国立新美術館などで開催される、岸さんの監修による20世紀のモダンデザインの住宅建築を総覧する展覧会への協賛金となる。
図面のほか写真や、木村さんと岸さんの打ち合わせを収録した動画も「意匠デザインのひとつ」として、購入者に公開していく。木村さんは「住宅価格が上昇する中では、誰かの設計をそのまま利用するのではなく、自社で考えたもので付加価値をつけないと厳しい」とし、工務店の設計では少なかったモダンデザインをその一手として提案したい考えだ。
同プロジェクトの1棟目として現在、あおぞらホーム(奈良県天理市)がモデルハウスの設計を進めている。木村さんはこれを「郊外型」と位置づけ、並行して自社でも「都市型」のモデルとなる住宅を、早期に実現することを目指す。
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