減少傾向にある新築の見込み客は確実に抑えたいが、追客がうまくいかず受注につながらない―そんな悩みを抱える工務店も少なくないはずだ。セールスオートメーションツール・Digima(デジマ)を導入して、追客の自動化を実現したエルハウス(長野県茅野市)の事例から、集客・受注難の今必要な追客について考えてみよう。 | エルハウス CEO 網倉 博さん |
⚫︎社名:株式会社エルハウス ⚫本社住所:長野県茅野市宮川1387-9 A-Iビル2F ⚫年間棟数:25~30棟 ⚫社員数:10~20名(令和6年11月現在) |
エルハウスはもともと営業マンの力が強く、営業1人が年10棟受注するような時期もあった。しかし個人の成果に会社の業績が左右されやすくなってしまい、現CEOの網倉博さんが同社に戻った2018年ごろは「どん底の時期」が続いていたという。
他社のマーケティングオートメーション(MA)ツールも導入してみたが、使っているのは1人だけ。それも資料請求・送付後に、イベント案内の一斉メールを、MAツールで一方的に送付する程度で、結局は電話営業頼りのままだった。
さすがにこのままでは厳しいと、網倉さんの決断で、1年前にDigimaを導入した。Digimaを選んだ理由は「セールスオートメーションに特化したツールで、営業の痛みを理解している」から。他のMAツールでは、メールを何通も送って追客する必要があり、営業目線ではDXなのに手間がかかるものだった。対してDigimaは追客に特化したツール。「営業が敬遠することを自動化してくれる」点が、同社の課題と一致した。
Digima導入で自動で
素早く問い合わせに対応
Digimaの導入によって、それまで担当者任せだった問い合わせ対応が、メールやショートメッセージ(SMS)による自動返信になった。自社サイトやポータルサイト(タウンライフ、SUUMO)からの問い合わせ・資料請求があると、Digimaに取り込まれた顧客情報から、即座にメールが送られる。
ファーストコンタクトに対しては、素早い対応が重要。導入以前は、例えば夜間に問い合わせがあったりすると、営業が深夜に対応せざるをえなかったり、返信が遅くなりがちだった。その点、自動返信なら深夜や休暇中でも即座に対応でき、営業が自分の生活を犠牲にして動く必要もない。
問い合わせに対する返信、つまり1通目のメールは、自社を知ってもらうことが主な狙い。内容も、問い合わせのお礼に、会社概要や家づくりのスタンスが中心だ。“かなわない夢はない 望む人生を手に入れよう”という理念もきちんと記載し、それに共感する人を自社に引き付ける。メール送信の3分後には、問い合わせのお礼と、メールを送信した旨をSMSで通知する。
家づくりへの熱量が高いと、この段階で来社・来場のアポイントにつながることもある。来場・来社前には、実際に対応する営業担当者の名前であいさつのメールを、Digimaを利用して送信している。
中長期的な追客にも効果
6カ月後の返信につながる
最近では、来場までのリードタイムが二極化しており、すぐに来場につながらないケースも増えている。中長期的には、14日おきに土地や資金計画の情報を発信しつつ、3カ月おきの状況確認を、SMSを併用して行い掘り起こしを図っている。
1通目のメールにリアクションがない場合、3日後に2通目(よくある質問への答え)、その4日後に3通目(資金計画のオファー)…という風に、約1カ月間、プロモーションも含むメールを5通送信する。
中長期的には14日おきに土地や資金計画の情報を発信しつつ、3カ月おきの状況確認を、SMSを併用して行い掘り起こしを図っている。営業マンが追客していたころはほぼノータッチだったが、自動的にフォローできるようになったため、問い合わせから6カ月後に返信があった見込み客もいた。
追客していく中で仮に途中で他社と契約していたとしても、見込み客リストにその結果を反映すれば、営業活動の無駄も省ける。
テレアポなしで1/3が来場
SMSも動線として確立
Digimaの運用を担当する広報・経営企画室の宮坂文嘉さんは、Digimaによって「私がいないところでも営業活動が行われている安心感」を得ることができているという。「いつの間にか返信されている」(宮坂さん)状況ができ、見込み客からのリアクションも増加。直近3カ月では、資料請求からの来場・来社率33.3%、ポータルサイトからの来場率も7~8%に達しているという。いずれもテレアポなしでの数値だ。
SMSへの返信率も、資料請求の場合で26.6%と高く、返信からつながる新たな集客導線も構築できている。また、導入に合わせ新聞の折り込みチラシやポスティングをやめ、集客をポータルサイトと自社サイトのみに絞ったが、来場者数を維持しながら広告費を削減することもできた。
一対一の感覚や顧客に
寄り添う姿勢をDXで強化
コンベックスのプロダクトソリューション部サブマネージャー・松上亮太さんは、Digima導入で成果を上げるポイントとして①1to1双方向、②マルチチャネル、③オファー型コンテンツの3つを挙げる。
①は、企業からのプロモーションではなく、一人ひとりに対してフォローしているような印象を与えること。エルハウスでは、来場・来社時に担当者が決まるまでは必ず宮坂さんの名前を入れている。Digimaではメールの件名に相手の名字も差し込めるため、より1to1の感覚を強めることができる。②に該当するのはSMSだ。開封率が100%に近く、かつスマートフォンに送られるため通知に気づきやすいSMSを使って、開封率が低下傾向にあるメールを補う。
③は顧客の姿勢に寄りそうこと。“何かお手伝いできることはございますか?”といった質問と、回答の選択肢を掲載し、返信を促す。見込み客は選択肢の番号を挙げるだけでよく、そこからさらに返信することでメッセージのラリーが続きやすくなるという。導入当初は「いくつも文章を考えるのは気が遠くなるような作業だが、すぐに導入したかったので」(宮坂さん)Digimaのテンプレートを活用。そこから徐々に変更してオリジナルの文面をつくっていった。
この3点を、問い合わせへの返信と中長期的な育客、それぞれの段階で押さえることによって「返信によるアポ獲得」「来場予約による顧客情報の自動更新」、そして「顧客の声を聞いている姿勢」という3つの成果を得ることができるという。
(sponsored by コンベックス)
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