『GREEN WINDOW』宣言から1年 “地域に最適な窓” 普及活動を本格化

LIXILは昨年11月、豊かで快適な暮らしを実現し、環境負荷を低減する“地域に最適な窓”の総称を『GREEN WINDOW（グリーンウインドウ）』とすると宣言。高い断熱性能による居住時（使用時）のCO2削減効果だけでなく、原料調達から廃棄までのライフサイクル全体でのCO2削減効果も加味した窓を普及する活動を本格化させている。地域最適窓を通じて目指すのは、生活者が、快適・健康で省エネに暮らすことができ、脱炭素社会の実現にも貢献する“地域に最適な住まい”の実現だ。宣言から1年、「GREEN WINDOWをひとつの“運動”や“合言葉”として、工務店・ビルダー様や設計事務所様など住宅業界の皆さんと共に広げていきたい」―そう話すLIXIL HOUSING TECHNOLOGYサッシ・ドア事業部の柳通一晴さんと秋葉義司さんに現在の取り組み状況について聞いた。

『GREEN WINDOW』宣言から1年、理念に基づき“地域に最適な窓”の普及に取り組むLIXIL HOUSING TECHNOLOGYサッシ・ドア事業部の柳通一晴さん（左）と秋葉義司さん

高日射熱取得ガラスを商品化
トリプル・複層ガラスを実装

――GREEN WINDOWの考え方を具現化した新たな商品について聞かせてください。

柳通　11月1日、当社のフラッグシップの2つの商品、高性能窓「TW」（高性能樹脂アルミ複合構造）と樹脂窓「EW」に、高日射熱取得ガラスのトリプルガラスと複層ガラスをラインアップしました。

工務店・ビルダー様や設計事務所様、建築家の皆様から非常に期待の大きかったもので、GREEN WINDOWの考え方の核となる地域最適窓の実現に大きく貢献すると自負しています。

ポイントはトップクラスの断熱性能を備える両商品の複層ガラス仕様にも高日射取得タイプをラインアップした点です。

これにより設計者は例えば、設計する住宅の全窓にTWもしくはEWを採用しつつ、冬場の日射熱取得を考慮したパッシブデザインによって南面の大開口だけは高日射取得の複層ガラスを選択するといったことに、よりメリットが出ます。

特にフレームがスリムで意匠性が高く、眺望性や開放感にも優れ、建築家などからも人気のTWは、もともとガラス面積が大きいため、この高日射熱取得ガラスにより、日射熱の取得はさらに大きくなり、有利となります。

我々は、今回の両商品への高日射取得熱ガラスの実装により、温熱環境のコントロールだけでなく、意匠性なども含めて、設計の自由度と選択肢が大きく広がると考えています。

工務店・ビルダー様や設計事務所様などを通じて、生活者がより地域の環境に、そして自身の暮らしにとって最適な窓を手に入れられるようになればうれしいです。それはそのまま、“地域に最適な住まい”の実現につながると確信しています。

理念に共鳴する企業と連携
共に脱炭素社会の実現に貢献

――GREEN WINDOWの理念をどのように広げていくか、現状を含めて教えてください。

柳通　GREEN WINDOWの考え方では、窓を使用する際のCO2排出量＝オペレーショナルカーボンだけではなく、窓の原料調達から製造、廃棄までのライフサイクルにおけるCO2排出量＝エンボディドカーボンも重視した製品により、サステナブルで脱炭素な社会の実現への貢献を目指しています。

宣言後から考え方に共鳴する企業様との連携を進めていますが、昨年10月には、ヤマダホームズ様との連携が始まりました。一緒に住宅分野におけるCO2排出削減に取り組み、環境負荷の低減を目指します。

具体的には「環境配慮型住宅」を販売するヤマダホームズ様が、家づくりにおいて当社の環境負荷が小さく省エネ性能に優れる窓やドアを提案するほか、住宅の省エネ効果を可視化するために「LIXIL省エネ住宅シミュレーション」を活用するといった内容となっています。

住宅産業だけでなく、あらゆる分野のあらゆる企業にCO2排出削減への具体的なアクションが求められるなかで、当社が掲げるGREEN WINDOWは、賛同いただくことによって環境に対する企業のスタンスを明確に示すことができる活動となります。

今後も当社の考え方に共鳴してくださる、さまざまな企業様との連携を広げていきたいと考えています。

「地域最適窓」の実現に向け
シミュレーションツールを拡充

――GREEN WINDOW普及の一環として、工務店や設計事務所などプロユーザー向けに提供しているツールについて説明をお願いします。

秋葉　私たちは、ただ商品を販売するのではなく、地域に最適な窓を用いた地域に最適な住宅を実現するためのツールも工務店・ビルダー様や設計事務所様に提供しています。

そのひとつが「LIXIL省エネ住宅シミュレーション」です。

ユーザー登録するだけで、無料で使用できるウェブツールで、実際のプランに沿って建材や設備の仕様を入力していくだけで外皮性能計算と一次エネルギー消費量計算ができるうえ、施主様に説明するための「提案書」も自動作成します。

この提案書は、例えばH28省エネ基準といった「比較住宅」を設定することができ、それに対して施主様の物件の性能がどれぐらい優れているかを、性能だけでなく光熱費削減などのメリットを説明することができます。

また、計算書はZEHや長期優良住宅など公的な補助金や認定住宅の申請にも使用可能です。「使い方がわからない」といった方のためにヘルプデスクも開設しており、お問い合わせに、電話やメールで無料サポートを行っています。

「ワンストップ（ひとつのプログラム）で完結するのが便利」とプロユーザーから高い評価を得ていて、登録ユーザーは累計で約3万人（会社数約1万7000社）となり、現在、1カ月あたり約2500棟の物件で利用されています。


LIXIL省エネ住宅シミュレーションにより自動作成した施主向けの「提案書」のイメージ。「ここをクリック」していただけると提案書のサンプルがご覧いただけます