LIXIL(東京都品川区)が、水まわり・タイルの国内事業100周年を迎え「次の100年」を創造していくプロジェクトの第1弾として発表した布製浴槽のユニットバス「bathtope」。11月26日の発売に先駆けて、本紙記者が先行体験してきた。
bathtopeは、布製の浴槽「fabric bath(ファブリックバス)」にお湯を張って入浴し、使用後はコンパクトに畳んで収納する。狭くても時間や季節、気分に合わせて浴槽を着脱でき、シャワールームと浴槽のある浴室を切り替えることができる製品だ。従来のFRP製の浴槽とは異なる素材感とデザイン、包まれるような入り心地も特徴としている。
入浴前は、ユニットバスの壁に浴槽を掛けて干している状態。第一印象では浴室に見えない空間だったが、浴槽にお湯を張って設置すると、途端に浴室の雰囲気に変わる。140Lほどシャワーから注水し、10~15分で入浴の準備は完了した。
体を包み込むような、リラックスできる入り心地
最初に体感したのは浴槽の安定度。浴槽の素材は、内側にポリウレタン、外側はポリエステルを用いている。本来は衣料用の素材だが、そのまま使うと強度が足りないため、複層にすることで強度を向上させたそうで、一般的な浴槽と比べても、入浴時の不安定さは全く感じなかった。ハンモックのように左右のフックに掛けて使用するが、お湯の重さが4点の壁掛けフックに力がかかることで安定性が増している。
入浴時の体の位置を調整することで、浴槽からはみ出ないよう、足を伸ばして入浴することもできた。身体は浴槽の左右から包み込まれるような心地だ。10分間ほど入浴したが、身体が過度に沈み込むこともなく、ほどよく固定されている状態でリラックスすることができる。リラックスできる体勢を探す楽しみがあるのも布製ならでは。また、床に接地するため座り心地の悪さも懸念していたが、浴槽が斜めの形状で浮力があるため、その点も特段気になることなく入浴することができた。
《記者の目》 新しい“浴槽”の概念 体験が魅力訴求の鍵に |
“可動性のある布製浴槽”という目新しい製品が発表された際、「一般的な浴槽で事足りるのではないか」と懐疑的な気持ちがあったことは否めない。しかし、浴槽の入り心地はもちろんのこと、日頃からシャワーを利用するだけであれば、必要なときだけ浴槽を使うようにして掃除の手間を省けるのは大きなメリット。かつ浴室空間を大きく取れない設計において需要があるだろう。体験を通して、「FRP製浴槽以外の選択肢」として新たな可能性を感じた。(記者:佐野 元基) |
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