帝国データバンク(TDB、東京都港区)が11月6日公表した、2024年10月の景気動向調査結果によると、景気DIは前月比0.3ポイント減の44.3となり、4カ月ぶりに悪化した。「建設」のDIは47.8で、前月から横ばいとなっている。防災・災害復旧工事や大都市圏での再開発が好調だった。今後の見通しでは、景気DIは同0.2ポイント増の44.5となると予想した。
需要あるも人材不足で受注できず
「建設」では、個別意見として「労務・材料費の価格転嫁もできて順調」(建築工事)、「能登半島地震による特需がある」(屋根工事)といった声があった一方で、「人材が不足するほど受注が増加しているため、低価格での受注は断らざるを得なくなっている」(一般電気工事)、「潜在的な建設需要はあるようだが、ゼネコンの現場における管理者不足により着工される物件数が減少している」(鉄筋工事)など、人材不足に関する懸念が見られた。住宅関連では「資材高騰で新築が減ることが見込まれる」(防水工事)との意見があった。
企業規模別では、「大企業」(DI:48.3)は前月から0.2 ポイント減少し、6カ月ぶりに悪化。「建設」は住宅着工戸数の低迷により、住宅資材関連が苦しい状況となっている。「中小企業」(43.6)は0.3ポイント減、「小規模企業」(42.7)は0.3 ポイント減となり、すべての規模で悪化した。
地域別では、「四国」「北関東」の2地域で改善。「北海道」「近畿」など8地域で悪化した。都道府県別では19府県で改善し、27都道府県で悪化した。一部の地域で公共工事の低迷が下押し要因となっている。
インバウンド需要続く見通し
「建設」における今後の見通しでは、「当分インバウンドの活況は継続し、ホテルのリプレースや新規オープンなどプラス材料が多い状況は続くだろう」(電気配線工事)、「激甚化する自然災害への対応として、構造物メンテナンスのニーズは今後も高い水準で推移するとみている」(一般土木建築工事)など、インバウンドや災害対策関連などで好調を予想。一方で「仕事はあるが、人手不足で請けられない」(塗装工事)、「土地代・建築費の高騰や金利の上昇による影響が続く」(木造建築工事)といった悲痛な声も聞かれた。
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