帝国データバンクが11月3日公表した建設業の倒産動向によると、2024年の建設業における倒産件数は10月までに1566件となり、前年同時期の1369件を上回った。このペースで推移した場合、通年では過去10年で最多となる見込み。木材などの建築資材価格の高止まり、建設現場での職人不足、求人難に伴う人件費の高騰が、中小建設業者の経営を圧迫しているためと、同社では分析している。
業務遂行に不可欠な資格を持つ従業員が転退職するなどして事業運営が困難になる、いわゆる「人手不足倒産」も前年を上回るペースで増加している。24年上半期の「人手不足倒産」は163件で、前年同期の135件を上回った。このうち建設業は55件で、全体の3割超を占めている。
今年4月から残業時間の上限規制が導入されたことにより、建築作業を担う職人や現場監督の求人難が深刻化。働き手の不足から工期の延長や後ろ倒しといった悪循環が生じやすくなっており、これも中小建設業の倒産件数を押し上げる要因となっている。
人手不足は人件費の高騰にも影響している。厚生労働省の調査によると、建設業の24年7月の現金給与総額は前年同月比で約10%上昇し、全産業平均よりも高い伸び率となった。その一方で、中小規模の建設業は賃金引き上げ余力に乏しく、人材確保や定着もままならない状況。この状況が続く限り、今後も中小企業が倒産に追い込まれるケースが増えることが予想される。
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