松尾和也さん流エコハウス設計メソッドを毎月10日号でお届けする本連載。今回は、長く住み続けられる住宅とはどんなものか、何を考えて設計すべきかを考えます。
「耐久性」「長期優良住宅」という言葉が、住宅業界で普通に使われるようになって久しいです。しかし、本当に長く使えるかどうかを自分なりに真剣に考えて住宅づくりに取り組んでいる方がどれだけいるでしょうか。少なくとも「長期優良住宅にしたら長く住み続けられる」というほど単純なものではない、と考えています。
私自身、住宅業界に身を置いて27年になります。その間、新築・リノベーションを合わせて400軒ほどの住宅設計に携わってきました。リノベーションの場合、どのくらいの年数でどのような家族構成や生活スタイルの変化があって、どこがどの程度傷んでいる、もしくは使いづらくなっているからリノベするのか、という実態をそれなりに見てきました。その中で自分が得たことをまとめてみました[下・囲み]。
●断熱性、気密性が悪く、暑くて寒い住宅は、年を取って家にいる時間が長くなってくると耐えられない
●構造に不安のある住宅、雨漏りがある住宅、間取りに問題がある住宅、生活スタイル、家族構成の変化に耐えられる柔軟性を持ち合わせていない住宅の場合、大幅なリノベに至ることが多い
●修繕費用や解体費用が高すぎる住宅は新築・リノベ、いずれにしても不利
●デザインを施工時の流行に合わせすぎたものは、見るに耐えない
●新建材(貼り物)は紫外線などによる劣化に弱いものが多い。またデザイン的に時代を超えられる物が少ない
●オーソドックスな形状、奇をてらっていないデザイン、仕上げは時間が経過しても見るに耐える物が多い
以上ですが、住宅のデザイン・設計手法の流行は、5~10年程度のペースで、常に変化しているように感じます。変化にはさまざまな項目がありますが、その変化がずっと継続するものと、一過性の流行で終わってしまうものに分類できると考えています。これを確実に推測することは難しいです。
ただ・・・
この記事は新建ハウジング11月10日号8面(2024年11月10日発行)に掲載しています。
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