家事・子育て・介護などを家づくりのメインの要素として取り込み、女性スタッフを主体とする“超地域密着型”の経営で成長を遂げてきたイエノコト(福岡県太宰府市)代表の淀川洋子さんが、自身の経営ノウハウを直に伝授する「淀川塾」(全5回)がスタートし、10月11日、同社の本社で第1回が行われた。オンライン参加の1人を加えた工務店の女性経営者・幹部3人が参加。来年2月までの間に、淀川さんから女性ならではの強みを生かした実践的な経営手法やビジネスモデルなどについて学ぶ。
イエノコトは淀川さんが、女性4人と共に2012年にリフォームで創業し、現在は新築や古民家再生、地元行政と連携した空き家対策からまちづくりまで幅広い事業を展開する。社員は11人となり、そのうち8人を女性が占める。この日の塾で淀川さんは、創業時は社屋に看板を掲げずに、「家事セラピスト」(家事塾が認定する任意資格)の女性スタッフが地域の人たちの生活の“よろず相談”に応じるところから、暮らしを改善するようなリフォームの仕事が広がっていった経緯を紹介。「当時の当社はリフォーム会社というよりは地元の“公民館”のようだった」と笑顔で振り返った。
淀川さんは、これからの工務店の生き残り策として、一気に加速している少子高齢化などの影響による地域の衰退や空き家問題などに深くコミットし、地域課題の解決につながるような事業を行う“地域のファシリテーター ”を目指すことが重要との考えを示した。そのうえで「地域のファシリテーターとは簡単に言えば、地元の“おせっかい屋さん”みたいなもの。家の片づけから親の介護や相続のことなど、信頼され安心して相談を寄せられるような存在が求められている」とし、「地域の建築業(工務店)の女性たちこそ、そういった役割を担うのに最も適している」と訴えた。
この記事は新建ハウジング11月10日号4面(2024年11月10日発行)に掲載しています。
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