来年4月、建築基準法・建築物省エネ法の改正でいよいよ4号特例の縮小と省エネ基準の適合義務化が始まる。構造関係の設計図書や省エネ適判が必要になり、工務店も審査機関も今まで以上に手間がかかることになるため、審査の遅延なども心配されている。着工や受注にも影響は出かねない。大きな変化に工務店はどう備えているのか。トップランナー工務店にその「打ち手」を聞いた。
4号特例の縮小や省エネ基準適合義務化そのものに対しては、既に対応済みの工務店ばかり。「改正法に対応できる社内体制の整備は完了している。いつでも対応可能」といった声が多く、改正への不安はほとんどなかった。
一方、施行に伴う業界の混乱は「影響がどの程度あるのか、正直予想はできていない」と、未知数な部分は多いのが工務店の実感だろう。ただ新築に限れば「構造や断熱への意識が高い工務店への影響は小さいのでは」など、深刻な影響を予想する声はあまりあがらなかった。
ただ、確認申請の遅れは、程度の差こそあれ大方が発生を予想している。中には「2009年の長期優良住宅認定制度開始時には駆け込みによって審査が2~3カ月遅延した。今回も同程度の影響があると想定する」など、審査の長期化による影響は深刻だという見方もあった。
改修、特に大規模リノベーションでは、確認申請の負担が一気に増える可能性もあり、大きな混乱が予測される。確認申請が必要な工事の内容が決まり切っていないこともあり、リノベーションに特化した工務店の経営者は「施主、業者、そして自治体、全てが混乱する可能性がある」、「検査・審査する側も未知数。業界が混乱したら正直手立てはない。仕事量が減るかもしれない」など、自社や業界におよぶ影響への不安をあらわにしている。
しかし「4号特例縮小で業界がまともになると捉えている」との意見があるように、将来に良質なストックを残していくために、25年4月の法改正はもはや避けては通れない。住宅の底上げに伴う“痛み”からどうやって身を守るのか・・・
この記事は新建ハウジング11月10日号1〜3面(2024年11月10日発行)に掲載しています。
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