国土交通省は10月31日、建築物のライフサイクル全体で発生するCO2(LCCO2)を算定する「建築物ホールライフカーボン算定ツール(J-CAT)」の正式版の提供を開始した。産官学連携による「ゼロカーボンビル推進会議」での検討を経て作成。5月から(一財)住宅・建築SDGs推進センターのホームページ上で試行版を配布していた。使用登録を行うことで、無料で算定ツールと操作マニュアルがダウンロードできる。
正式版では、▽2015年産業連関表ベースの原単位の採用▽算定範囲の拡張▽資材数量入力可能な範囲に土工事と型枠を追加▽2024年5月以降に公表された「SuMPO EPD」「EPD Hub」「EPD International」の日本製品を追加▽ISO21930に準拠したD段階の算定結果表示を実装▽コンクリートのCO2固定量算定を追加▽太陽光発電設備の入力機能を追加▽都市ガスの排出係数の将来変化―について改良を行っている。
GHG排出量を「見える化」
J-CATは、建築物を構成する資材の製造、運搬、施工、改修、解体に至るまでの建築物のライフサイクル全体で発生するCO2などの温室効果ガス(GHG)排出量を算定するツール。GHG排出量を「見える化」することで、国際社会や次世代にも通用する質の高い建築ストックの確保を目指す。
ツールで用いる算定法は、①設計から竣工までの最も標準的な利用を想定した「標準算定法」、②設計初期段階の概算用の「簡易算定法」、③竣工段階の精算用の「詳細算定法」の3種類。Excelの入力シートに、建物の基本情報や資材数量、更新周期などの必要項目を入力することで自動で計算できる。活用方法として、設計方法の違いによる排出量の確認、着工後の設計変更への対応、竣工時の報告書への掲載などを想定している。
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