国土交通省は10月31日、第58回社会資本整備審議会住宅宅地分科会(分科会長=齊藤広子・横浜市立大学教授)を開催し、住生活基本計画の見直しに着手した。足元の社会情勢や課題を踏まえ、2050年における望ましい住生活の姿からも逆算しつつ、当面10年間に取り組む住宅施策の方向性を議論していく。25年11月ごろに中間とりまとめを行い、26年3月の閣議決定を目指す。
住生活基本計画は、計画期間を10年とし、おおむね5年ごとに見直しを行い、変更するとされる。現行計画は21年3月に閣議決定したもので「社会環境の変化」、「居住者・コミュニティ」、「住宅ストック・産業」の3つの視点から8つの目標を設定した。
今回の見直しでは「住まうヒト(居住者)」、「住まうモノ(ストック)」、「住まいを支えるプレイヤー(担い手)」の3つの観点で論点を設定する。居住者の観点では、単身世帯を含む高齢世帯や、若年者の単身世帯、正社員共働きの子育て世帯などを焦点に、求められる住宅・住環境や政策対応を議論する。またインフレ傾向の中で厳しくなる住宅取得環境への対応も検討する。住宅ストックについては、脱炭素や災害の激甚化も考慮し、不良ストックや旧耐震など活用されにくい民間住宅の除却、更新を促す方策や、国・自治体や事業者、あるいは居住者自身が、良質なストック形成に果たす役割を探る。
プレイヤーの観点では、大工技能者や建築士の減少・高齢化などを前提とし、ストック社会を支える技術・技能者のあり方および育成を議論しながら、住生活の向上においてDXを活用する方法なども論点に挙がった。
12月には再び会議を開催し、現行計画の取り組み状況を確認したうえで、計画改定の主な論点と目標設定の方向性を議論する予定。個別の論点については年明け以降から議論を始める。
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