東京商工リサーチ(TSR、東京都千代田区)は10月22日、「全国女性社長」調査の結果を発表した。同社が保有する約425万社の経営者情報から、女性社長を抽出、分析したもので今回が13回目。2024年の全国の女性社長は64万9262人(前年比6.0%増)で、前年から3万7038人増加した。「女性社長率」(全社長数に対する女性社長数の割合)は、前年比0.28ポイント増の15.24%で、初の15%超えとなった。
女性社長数が最も多いのは、「サービス業他」の32万913人(構成比49.4%)で、全体のほぼ半数を占めた。喫茶店や食堂などの飲食業や、美容業、エステティック業など、女性が開業・活躍しやすい業種が目立つ。次いで、不動産業9万7269人(同14.9%)が続いた。建設業は3万4728人(同5.3%)だった。
「女性社長率」は、不動産業が25.06%で最も高く、4人に1人が女性の計算。次いで、サービス業他19.04%、小売業15.68%が続いた。最下位は建設業の5.45%で、農・林・漁・鉱業8.16%、運輸業9.37%の3産業が10%を割り込んだ。男性労働者が従事するイメージが強い産業では、経営者の女性進出も低調な傾向がみられる。
女性社長の平均年齢は65.1歳で、男性社長の平均63.3歳より1.8歳高い。産業別では、小規模事業者が多い不動産業(67.4歳)、小売業(67.2歳)の上位2産業が平均年齢を押し上げた。建設業は65.7歳。50代は情報通信業(58.2歳)のみとなった。年代別分布では、70代が25.8%で最多となり、建設業、卸売業、小売業、不動産業で70代の社長が多いことがわかる。
女性社長は、2010年の調査開始時の21万2153人から、14年間で約3倍に増加。政府や自治体の創業支援や事業承継支援に加え、企業を巻き込んだ女性の活躍をサポートする取り組みが、少しずつ広がりつつあるとみられる。だが、男女の役割分担への先入観は依然根強く、同社は介護や育児、少子化対策などを含む包括的な政策と支援が求められるとしている。
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