国土交通省はこのほど、中大規模建築物や非住宅建築物での木材利用拡大を図ることを目的に「木造建築物の耐久性に係る評価のためのガイドライン(案)」(PDF)を作成。11月17日までパブリックコメントを募集している。同ガイドラインの公表は12月頃を予定している。
耐久性の第三者評価を容易に
建築分野では、省エネ対策に加えて木材利用促進が重要課題となっており、特に木造化率が低い中大規模建築物や非住宅建築物で木材利用を拡大する必要がある。
また、木造建築物の拡大を図るため、企業会計実務や資金調達(融資・リートなど)の場面で、木造建築物の実態に応じた償却期間が適切に設定されることが求められている。ところが現状では、償却期間の設定指標が税制上の法定耐用年数のみであることから、融資期間が短く設定されたり、融資実行がされにくいといった事案が発生している。
そこでガイドラインでは、第三者評価を行いやすくするため、木造建築物の耐久性に関する評価基準や枠組みを整備。エンジニアリングレポートなど既存の枠組みに比べて簡便に活用できる内容にまとめた。平面図や断面図、仕様書(仕上げ表)など設計図書に示された必要事項を、登録住宅性能評価機関が同ガイドラインに基づき審査する。
耐用年数50年以上の措置要求
ガイドラインの評価対象は、新築の木造非住宅建築物。共同住宅を含む木造住宅については、住宅性能表示制度の劣化対策等級により評価されるため対象には含まれていない。
評価の基本的な考え方としては、通常想定される自然条件、および維持管理条件下の物理的な耐用年数が50年以上であること、大規模な改修工事を必要とするまでの期間を伸長するために必要な措置が講じられていることとする。
具体的には、①構造躯体内部への雨水浸入の防止、②雨水の浸入があった場合の速やかな排出、③雨水が浸入し滞留した場合の構造躯体の防腐処理―といった措置が適切に講じられているかどうかを確認。外壁、屋根、床下などの木造部分に加えて、木造以外の部分についても劣化対策等級基準に適合しているかどうかを評価する。
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