建築屋Katei(カテイ)の屋号を掲げる朝倉建築の朝倉匡志さん(36歳)は、昨年5月、亡くなった父・基充さんの跡を継ぎ、代表に就任した。創業者で大工だった祖父・邦人さんの時代から培ってきた地域の人たちの信頼や親しみを受け継ぎながら、設計力や現場力を強みとする工務店への変革を進める。「大好きな家づくりに注ぐエネルギーは無限」と、経営や設計など忙しい日々の仕事に向き合いながら学びと実践を繰り返す。【編集部 関卓実】
朝倉さんは一昨年、朝倉建築に入社。設計力も特徴とする工務店を目指そうと、すぐに自身を管理建築士として建築士事務所登録を行った。それと同時に、設計や施工、アフターという家づくりの重要な「過程/プロセス」を自社の強みとして打ち出していくという決意を込めて、新たに掲げた屋号に「Katei」を付けた。加えて「どうしても屋号には『建築屋』を入れたかった」と朝倉さん。先代が長い期間をかけて培ってきた地元の人たちからの信頼や、親しみは厚い。魚屋さんや八百屋さんのように、町の人たちから親しまれ、建築に関するよろず相談に応じてフットワーク軽く駆け回る“町の建築屋さん”―そんな自社のカラーも大切に守っていく。
設計塾が変革のエンジンに
建築士事務所登録し、屋号を掲げた後は、屋号を家づくりのブランドと重ねていくために、さっそく具体的なアクションを起こした。そのひとつが建築家の飯塚豊さんが塾長を務める設計塾への参加だ。朝倉さんは「これが、会社の変革を推し進めていくための大きなエンジンになった」と振り返る。
飯塚さんの設計メソッドを吸収しながら、それをリアルタイムで設計に落とし込んでいった。事務所のリノベーションもそのひとつだ。「つくる住宅と打ち合わせをする事務所の雰囲気や世界観がかけ離れていては説得力がない」と踏み切った。天井高を落とし、開口の取り方や照明の配置に気を配りながら、自然素材を用いて空間を整えた。限られたスペースながらも道路に面するファサードの前には緑を配し、ちょうど顧客と打ち合わせを行うスペースを、内と外とのつながりを感じられる居心地のいい場所にした。
飯塚さんの設計メソッドを学べたことは非常に大きかったが、朝倉さんは「それだけではなく、一緒に学ぶ同じ経営者の立場の先輩たちから経営の話を聞くことができたのも刺激になった」と振り返る・・・
この記事は新建ハウジング10月30日号16面(2024年10月30日発行)に掲載しています。
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