住宅設計の分野にも、じわじわとAI(人工知能)が入り込みつつある。しかし、AIが住宅を設計してしまうようになったら人間の設計者は何をすればいいのか。経験と想像力で自身の設計を確立した建築家・伊礼智さんと丸山弾さん、AIの図面解析を利用した概算システムの開発者・塩地博文さん(ウッドステーション会長)、AIによる自動設計システム「archiroid」の開発者・佐々木雅宏さん(アーキロイド代表取締役CEO)の4人が激論を交わす。(聞き手=新建ハウジング編集長 荒井隆大)
伊礼 僕は、構造なら構造の専門家、つまり“リアルAI”の力を借りて、自分らしい設計を具現化しています。でも、人間はミスもしますし、確認申請用の設計図書をつくる作業などは面倒で、僕はご免こうむりたいです。自分らしい設計をするために、答えが決まっている・見えているものをAIでスピーディーに処理して、答えのない問題に専念できるといいですね。
CADにしても、それがない時代を知っている人間からすれば大変な進化です。AIもどんどん活用すべきだと思います。
丸山 私は構造計算ソフトを導入して自分で構造計算をしています。自分で構造計算を行えば、意匠的に変更したいときにも、その場で耐震等級を維持できるのか、すぐわかるので。
また最近は、建築費の高騰もあり、大きな変更が発生したりもする。そういう時に、AIを使って即許容応力度計算ができたりすると助かりますね。
塩地 設計者がCADで作成する意匠図は、設計者個人に属する「わたしの情報」です。有能なスタッフが意匠図から構造計算をしてくれたりするのだけれど、これはわたしの情報が複数化しているに過ぎない。AIで図面を解析・クラウド化することで、属人的な情報が「あなたの情報」になるのです。
伊礼 標準化というとディテールなどを広く共有するものだ、と思われるのですがそれは誤解です。もともとは・・・
この記事は新建ハウジング10月30日号8・9面(2024年10月30日発行)に掲載しています。
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