約30年前から、高断熱高気密住宅に取り組んできた池田建築店(秋田県能代市)は、高い基本性能と地場産材の「秋田杉」の活用を特徴とする家づくりにより、新築年間5~6棟と棟数は多くないものの足元の受注は堅調だ。さらに最近では、オーナー宅が改修期を迎えていたり、先駆け的に高性能化に取り組んできた実績なども相まって、断熱をメインとする性能向上リノベーションの依頼も増加。社長の池田佐保さんは、こうした状況を踏まえ、大切な事業パートナーに位置づける大工チームと協力し、「性能面のブラッシュアップを続けながら、大工の技術を次世代につないでいくことにも力を入れていきたい」と意欲を見せる。【編集部 関卓実】
池田建築店の住宅事例。積雪への対策や冬場に日射を十分に取得するパッシブデザインなど地域の気候を考慮しながらオリジナリティのある高い意匠性も実現している外観 |
「コロナ禍の半ばぐらいから、しっかり情報収集をしたうえで、決め打ちで(当社に)来てくれる人が増えてきたように感じる」と池田さんは話す。同社は、新木造住宅技術研究協議会に活動初期から参加し、いち早く高断熱高気密化に取り組んできた。新住協のノウハウによる施工を手がけられる工務店が少なかった黎明期には、高断熱高気密住宅のパイオニア的な存在としても知られる建築家の西方里見さんが全国各地で設計する住宅の施工を、池田さんの父で現会長の新一郎さんが大工チームを率いて飛び回りながら、引き受けていたという。
そんななかで自社としても断熱・気密の設計・施工のスキルを独自に磨きながら、同時に地元の秋田杉を全面的に用いて、大工の高い技術をフルに生かし切る家づくりを継続してきた。池田さんは「『高性能な家が欲しい』もしくは『木の家が大好き』という2つの入り口からお客様が来てくれる」と説明する。
QPEXで省エネ性にもコミット
同社が新築する住宅は、新住協の「Q1.0住宅レベル3」(外皮はUA値0.25W/㎡K程度で断熱等級6を少し上回る)、耐震等級3を基本性能とし、全棟で長期優良住宅の認定を取得。気密性能はC値0.2㎠/㎡以下が標準で、断熱・気密性能を高めるだけでなく、QPEXによる年間暖冷房費の計算や日射取得・遮蔽を含むパッシブデザインの採用などにより、省エネ性にもコミットする。換気は第一種熱交換換気(スティーベルまたはマーベックス)を採用しつつ、換気経路とからませながら、フルオープンな間取りの住宅全体を床下エアコン1台で暖房、小屋裏エアコン1台で冷房する。現状で・・・
この記事は新建ハウジング10月30日号4面(2024年10月30日発行)に掲載しています。
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