地震発生時に物資などを輸送する緊急道路に架かる橋の補強工事が効率的に実施されているかを会計検査院が調べたところ、4県2市の354基で、本来は最優先すべき落下防止のための工事が、他の補強工事よりも後回しにされていたことが23日、分かった。
落下防止工事がされていない場合、地震によって橋が崩落し、物資などの輸送が大幅に遅れる可能性がある。
1995年の阪神大震災で、道路に架かる橋が甚大な被害を受けて以降、国土交通省は橋の落下防止工事を最優先事項に位置付け、整備を進めている。損傷軽減などを目的とした他の補強工事は、落下防止工事の後に行うこととされている。
検査院は、2021~22年度に実施された260基の補強工事計311件や、他の2646基の管理状況について調査。4県2市では、落下防止工事を終えた橋の補強工事が、354基の落下防止工事より優先されていた。
国交省は少なくとも直近5年間、落下防止工事を最優先で進めることについて、自治体などへの周知を怠っていた。
今年1月の能登半島地震では、道路が寸断され物資や人の輸送が困難となる事態に陥った。検査院は国交省に対し、橋の落下防止工事を最優先で進める重要性を自治体などに説明するよう意見を付けた。
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