矢野経済研究所(東京都中野区)は10月23日、国内の非住宅木造市場に関する調査結果を発表した。2023年度の市場規模(新築+増改築)は、工事費予定額ベースで8788億円(前年度比33.7%増)と大幅に増加したのに対し、床面積ベースでは334万2000㎡(同4.5%減)と微減となった。
コロナ禍やウッドショックからの回復および建築コストの上昇から、工事費予定額ベースではコロナ禍前の2019年度市場規模を2割ほど上回った。一方、床面積ベースでは2020年度以降減少傾向にあり、建築コストを抑制しようとする動きが非住宅木造建築物の小規模化、低層化につながっているとみられる。
2024年度は、床面積ベースで340万㎡(前年度比1.7%増)、工事費予定額ベースで8800億円(同0.1%増)を見込む。S/RC造に使われる鉄などの原材料価格の高騰を背景に、建築コスト低減にもつながる木造へのニーズが増加しており、コスト競争力の高い低層の非住宅木造市場などで堅調に推移するとみられる。
今後一層、SDGsやカーボンニュートラルへの対応が求められ、環境負荷軽減に寄与する木の活用ニーズは拡大すると考えられることから、2030年度の市場規模は、床面積ベースで410万㎡(2023年度比22.7%増)、工事費予定額ベースで1兆1400億円(同29.7%増)に拡大する見通し。現在、大企業が中心のESG経営が中小企業にも広まることで、市場拡大を後押しすると期待される。
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