国土交通省は10月18日、木造建築物の維持管理方法やコストなどを建築主向けにまとめたパンフレットを公開した。「中大規模建築物に木材を利用する際に知っておきたい維持保全・維持管理の考え方と設計等の工夫」、「技術情報資料」の2種類で、発行は(公財)日本住宅・木材技術センター。
木造建築物の維持保全・維持管理の方法を示した資料や情報が少なかったことから、同省内に情報提供のための専門委員会(木造建築物の適切な維持・管理情報の提供事業委員会・大橋好光委員長)を設置。既存建築物の事例調査を経て、耐久性を確保するための留意点を整理した。
◆ダウンロード先
国土交通省HP「木造建築物の維持保全・維持管理について」
対象とする木造建築物(イメージ)は、低層を含む4~5階建て程度の非住宅用途および共同住宅。さまざまな構法、耐火要件下で躯体や内装材・外装材に木材を利用する場合を想定している。
主な項目は、▽維持保全維持管理計画▽中大規模木造建築物におけるライフサイクルと維持保全・維持管理▽木材利用部分の維持保全・維持管理▽維持保全コストを低減させる設計・使用材料の工夫▽維持保全維持管理を容易にするための工夫▽維持保全のための資料の整備と保管―など。
構法別の維持管理上の留意点では、例えば両面大壁仕様などで被覆する場合、木造躯体が露出しないため耐久性を確保しやすいが、何らかの理由で内部に水や湿気が侵入すると乾燥しにくく木材が腐朽。その発見は遅くなり、被害が拡大しやすいため、一次防水層 (外装材など)により被覆部分のこまめな維持保全が必要だとしている。他にも、片面大壁仕様などで被覆する場合、室内側に全体現しとする場合、屋外に全体露出する場合などの留意点も示している。
「技術情報資料」では、パンフレットの内容を補足する資料として、▽予防保全と事後保全の費用比較例▽木材に生じる経年変化の強度への影響▽中・長期修繕更新費用の算出▽軒の出の寸法と壁面への作用雨量の関係▽木材保護塗料の再塗装の実施時期▽水が切れやすい部材の納め方の例―などを掲載している。
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