国土交通省はこのほど、2024年度「都市景観大賞」を発表。大賞(国土交通大臣賞)に山形県天童市の天童温泉街地区が選ばれた。天童市は舞鶴山や愛宕沼、湯上山の美しい自然に囲まれた環境が特徴。これらの風景が広がる天童温泉街に旅館、美術館、店舗、戸建住宅などが混在している。
同賞は、優れた都市景観を形成している地区や地域の景観に関する活動を表彰するもの。今回は14地区の応募の中から、都市空間部門で5地区(大賞1地区、特別賞1地区、優秀賞3地区)、景観まちづくり活動・教育部門で3活動(優秀賞2活動、特別賞1活動)が選定された。
景観デザインの力で温泉街を再生
大賞の「天童温泉街地区」(応募者:結城光正一級建築士事務所・他)は、バブル崩壊で全国の多くの温泉街が衰退する中、景観デザインの力を活用して街を魅力的に再生させた成功例として高評価。「天童の森構想」に基づいて、新たな天童温泉源泉櫓(10号源泉)や、天童木工のベンチなどを配置し、地域文化や温泉地の歴史を伝えるエリアを形成している。
新たにランドマークとなったエリアを散策しながら街並みを楽しめるよう、旅館の入り口や街かどに足湯や手湯のスポットを設置。旅館の長い塀を夜間照明付きの杉板塀に改修するなど、夜間の回遊ルートを整備した。
大賞作品とともに最終候補に残った特別賞の「汐留イタリア街地区」(東京都港区、応募者:NPO法人コムーネ汐留)は、JR線路沿いに位置する約5.6haの元流通業務系市街地。土地区画整理事業で東京都により石畳の汐留西公園と道路を整備した後、「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」に基づいて、新築建物から屋外広告物に至るまで、イタリアの街並みを想起させるようなデザイン調整を行った。「丁寧に作り込まれた街路、広場の公共空間とそこに面する建物の設計上の工夫が景観の魅力を高めている」と評された。
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