林野庁はこのほど、2023年度「国有林野の管理経営に関する基本計画の実施状況」(PDF)を公表した。
これによると、国有林野面積は国土面積の約2割に当たる758万haで、91%が保安林、13%が保護林、29%が自然公園となっている。人工林の齢級構成は、11年生(38万ha)が最も多く、次いで12年生(35万ha)、10年生(30万ha)の順となっている。
スギ花粉発生源対策として取り組んでいる花粉の少ないスギへの植え替えについては、23年度の間に約2200haを花粉の少ないタイプに転換。苗木については137万9000本(690ha相当)のうち、65%を花粉の少ない苗木に変えた。
23年4月から開始された「相続土地国庫帰属制度」では、年度末までに280件の申請があり、順次審査を実施。年度末現在で6件が国庫に帰属した。同制度は、所有者不明土地の発生の抑制を図ることを目的に行われ、相続などによって土地所有権を取得した者が土地を国庫に帰属させることを可能としている。
(※参考:相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律)
建材向けにヒバ・ヒノキ供給
林産物などの供給状況については、23年度中に845万㎥の立木を伐採。素材(丸太)と立木を合わせて、約500万㎥の木材(丸太換算)を供給した。このうち集成材・合板工場、製材工場と協定を結ぶことで国有林材の安定供給を目指す「システム販売」での素材(丸太)供給量は182万㎥となった。他に民有林からの供給が困難な樹種として、ヒバ6万8000㎥、木曽ヒノキ4000㎥を供給している。
システム販売の事例では、関東森林管理局磐城森林管理署のアカマツの供給状況を紹介。ここはアカマツの人工林が多いため、建築用材としての需要創出を図ることが課題となっていた。そこで23年度に、立木を安定的に複数年にわたって供給するシステム販売の公募を実施。福島県のアメリカ屋との間で、アカマツなどの立木6500㎥のシステム販売協定を締結した。
これにより同社は、23年度に一般材約3000㎥、低質材約800㎥を供給。さらに24年度までの2年間で、ハウスメーカー向けに一般材5400㎥、木質バイオマス発電施設向けに低質材1100㎥を供給する計画を立てている。
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