木材利用推進中央協議会(東京都千代田区)は10月15日、2024年度「木材利用推進コンクール」の受賞作品を発表した。特色ある木造施設等が対象の「優良施設部門」から各大臣賞や審査員特別賞などの特賞14点と、優秀賞43点を決定した。また、国産材利用に積極的に取り組む企業が対象の「国産材利用推進部門」についても大臣賞や長官賞など受賞企業6点を選出した。
優良施設部門の「国土交通大臣賞」には、AQ Group本社屋(施主:AQ Group、設計:野沢正光建築工房、施工:田中工務店・伊佐建設特定共同企業体)が選ばれた。地上8階建ての耐火建築物を、特殊な金物を使わない耐震構造の木造で実現。地域ゼネコンでも施工できる多層耐火純木造の普及型モデルで、材積が大きい構造材をすべて木材で構成している。外部からも木造であることがわかるようアピールすることで、森林資源の有効活用・高付加価値化にも寄与していると評された。
「内閣総理大臣賞」は、野村不動産溜池山王ビル(施主:野村不動産、設計・施工:清水建設)が受賞した。使用するほぼ全ての木材を国産材で調達し、都心の高層木質建築物に求められる高い耐火性・耐震性に、2時間耐火認定の木質耐火構造部材(柱・梁)の開発などで対応。21m×18mの開放的な木質無柱空間などにより、木質建築の特徴的な外観の創出、ワーカーの知的生産性への寄与を実現した。中高層オフィスの木質化への貢献が期待される事例として評価された。
「農林水産大臣賞」には、立野交流施設(立野駅)(施主:熊本県南阿蘇村、設計:ジメント、施工:吉永・橋本特定建設工事共同企業体)が選ばれた。設計時から、地域材の調達・加工について地元の木造設計アドバイザーやプレカット事業者と相談し、屋根・小規模施設(トイレや駅本屋)の木造化、内外装・家具などの木質化を実現。使用木材の約8割に熊本県産材など地域産材を活用した。鉄骨主体構造の上に木造小屋組が効率よく架構する構造で、集成材を使わず大径材の製材と地域の施工技術のみで施工した。主体構造が木造でなくても、あたたかみのある空間を創出することから、地域駅舎などへの普及が期待される。
国産材利用推進部門では、「農林水産大臣賞」に大東建託(東京都)、「林野庁長官賞」に日本生命保険相互会社(東京都)とナイス(神奈川県)が選ばれた。また、「木材利用推進中央協議会会長賞」には、秋田プライウッド(秋田県)、ニチハ(愛知県)、院庄林業(岡山県)が選ばれた。
表彰式は、10月25日に「木材利用推進全国会議」内で開催する。場所は木材会館。
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