国土交通省は10月4日、農地付き空き家の円滑な活用に資する関連制度をまとめた「農地付き空き家の手引き」(PDF)を改訂し公開した。
初版は2018年に作成。2023年4月1日の農地法改正により、農地の権利取得時の下限面積要件が廃止されたことなどから、近年の空き家をめぐる最新の動向に対応するため改訂された。改訂版では、①地方移住や空き家などをめぐる動向、②取組を進めるに当たっての手続き、③取組事例、④関連制度―などについて解説している。
①「地方移住や空き家などをめぐる動向」では、若者を中心に地方移住への関心が高まっている傾向などについて、調査結果を交えて説明。NPOふるさと回帰支援センターによると、移住相談に訪れる人は年々増加し、特に20~30代の相談件数が増えているという。一方、空き家はこの10年で約1.3倍に当たる349万戸にまで増加。「一戸建(木造)」が最多で240万戸を占めている。
②「取組を進めるに当たっての手続き」では、空き家情報を提供するための取り組みとして空き家バンクを取り上げた。▽空き家バンクの設置▽担当者との事前調整▽空き家バンクの運営方法▽農地付き空き家の提供から取得の流れ▽市町村など関係主体の役割と連携―について解説している。
また、移住希望者が空き家とセットで農地を取得する場合、農地の取得に係る手続を行う必要があるため、農地の権利を取得する場合の要件や関係法令などについても触れている。
農地取得時の下限面積緩和に効果
取り組み事例では、宍粟市・佐用町(兵庫県)、雲南市(島根県)、豊後高田市・竹田市(大分県)の事例を紹介。宍粟市では、市の農業委員会が増加する空き家の活用や移住・定住人口の確保、農地の適正管理などを目的に、2016年から空き家バンクに登録するなどの取り組みを開始。当時、農地の権利取得時の下限面積要件が5000㎡(※農地法改正前)だったところ、空き家と付随する農地を取得する場合に限り100㎡に緩和した。その結果、2022年12月末までの農地付き空き家の成約数が52件に達した。
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