前回から少し時間が空いてしまいましたが、引き続き弊社が業務としてBIMソフト/BIMを利用して行っている具体例をご紹介したいと思います。
これは(【図1】)、当社の事業のひとつである「MAKE DoC」のページです。「MAKE DoC」はBIMソフトを用いて作成した建築モデルを、2次元の図書(Document)に落とし込むサービスです。確認申請図書として利用したり、現場で利用する実施図として利用したりしていただいています。
2次元CADによる作図は、もちろんこれまでも行われてきたことですが、BIMソフトを利用した2次元作図となると、3Dモデルを一旦作成したあと2次元表現を追記していくといった作業が発生します。おそらく、よーいどん!で単純な作図スピード競争をすれば勝ち目はありません。短距離走なら2次元CADに分があります。
しかし、例えば、サッシの位置や形状に変更があったとしましょう。2次元CADにおいては、平面図、立面図、展開図とサッシが現れる図面のすべてを修正しないといけません。小さい物件ならよいのですが、大きい物件や変更箇所が多くなった場合は、必然的に人為的なミスが増えます。BIMソフトであれば変更はその箇所だけ行えばよいですし、3Dモデルは1つですので、平面図・立面図・断面図が整合しているかの確認をそもそも行う必要がありません。
図面に修正はつきものなので、結果的にトータルの作図時間は少なくなると言えます。長距離走ならBIMは息切れしません。
そもそも建築する行為は、長距離走であることが多いでしょう。しかも関係者も多く、50人ぐらいが同時に走るマラソンみたいなものです。最後のトラックに入ったときに、現場で細かなところを指示をしながらも、ささっとディテールを2次元(なんなら手書きのスケッチを!)で書いて駆け抜ける、といった持久力と瞬発力の使い分けも必要なのではないでしょうか。
また、3次元モデルを持つことの最大の利点は【図3】のような干渉チェック(Coordination Check)が行えることにあります。各部材の位置に問題がないかを確認をしていくわけですが、小規模物件なら目視でもわかりやすく確認できますし、大規模の場合でもソフト側の機能で自動判定もできますので、問題点の把握も容易です。
そして、以前にもこの連載で書いたかと思いますが、確認申請自体が紙による審査からBIMによる審査に変わろうとしています(【図4】)。
BIM化することで、【図3】にあるようなチェックが簡単にできるようになります。これに加えて審査のBIMテンプレートを配布したり、審査項目の標準化を行ったりしていけば、審査に出す側の負担も、審査する側の負担も軽減されることが予想されます。2024年8月には、BIM図面審査ガイドラインも発表されました。その次にくるのがBIMデータ審査ということになるでしょう。いよいよBIM時代は待ったなし、といえます。
業務をBIM化していくメリットを出すことの、ひとつの例がこの「MAKE DoC」です。ご興味のある方はぜひ[email protected]までご連絡ください。
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