東京都は9月30日、2023年6月に閣議決定された「建設工事従事者の安全および健康の確保に関する基本計画」に基づき、都独自の安全計画(PDF)を見直して公表。2023年から5年間の平均死亡者数を過去5年と比べて15%以上(15.7人以下)に減少、平均死傷者数を5%以上(1013人以下)に減少させることを目標に掲げた。
都内で発生した建設業での死亡災害の発生は、1964年には303人だったところ2023年には17人にまで減少。死傷災害は1963年の1万4208人から1099人に減少している。これらには足場組立作業従事者への特別教育の義務化(2015年)、フルハーネス型墜落制止用器具の使用原則義務化(2019年)が寄与した。その一方で、全死傷災害に占める建設業の割合は約1割で、死亡災害に至っては約4割となっている。
そこで新たな施策では、墜落・転落災害など建設現場の安全性向上の対策に加え、健康確保のための対策を強化。熱中症対策に起因した工期延伸や対策費用に関する設計変更に応じることや、解体・改修工事での石綿ばく露防止、新興・再興感染症への対応について明記した。他に人材の多様化に対応できるよう、女性、外国人労働者、高年齢労働者に配慮した環境整備を推進する。
一人親方への対策も強化
一人親方の安全・健康確保のための対策も強化する。4月から義務化された「改正労働安全衛生規則」などを踏まえ、一人親方の安全衛生に向けた取り組みを支援。安全衛生に関する知識の習得支援や、法定福利費など必要経費を適切に反映した請負代金の確保、労災保険特別加入制度の周知などを行う。
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