ドイツ製の木質繊維断熱材などエコロジー建材のみを取り扱う輸入商社のイケダコーポレーション(大阪府大阪市)は9月24日、設計事務所やゼネコン、工務店の設計者らを対象に、中大規模(非住宅)木造の普及に向けたセミナーを東京都内で開催した。「木造建築の未来 木造技術とモダン建築の融合」と題した同セミナーには全国から約200人が参加。セミナーでは、現代木造建築の世界的なパイオニアとして知られるオーストリア人の建築家でドイツ・ミュンヘン工科大学木造建築学科教授のヘルマン・カウフマンさんと、国内で先駆的に地域材を活用した木造建築に取り組む艸(そう)建築工房(高知県高知市)代表の横畠康さんの2人が講師を務めた。
冒頭で主催者を代表してあいさつに立ったイケダコーポレーション副社長の加藤俊和さんは「国土の7割を森林が占める先進国の中では数少ない森林国であり、1300年前の木造建築が現存する高い木造技術が息づく日本で、豊富な森林資源と歴史ある技術を用いて持続可能な社会を実現することこそが木造建築のあるべき未来だと考えている」と訴えた。
設計事務所の代表でもあるカウフマンさんは、基本設計を手がけた富山県黒部市にあるパッシブタウン(YKK不動産)の木造+RC造6・7階建ての集合住宅も交えながら、ヨーロッパ各地で取り組んできた先駆的な木造建築の事例を紹介し、それぞれ設計や施工のポイントなどについて解説。
中大規模の施設建築で木造をさらに普及させるためには、「自然景観に溶け込む美しさなど視覚に訴えることが最も効果的」と持論を語り、美しく効率的な“新しい木造建築”は、若い意欲的な人材を建築業界や現場に呼び込む可能性を持っているとの考えを示した。
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