中小企業基盤整備機構が9月30日公表した「第177回中小企業景況調査」(2024年7‐9月期)結果によると、建設業の「業況判断DI」は▲11.7で前年同期比1.4ポイント増加。季節調整値では▲9.5(前期比0.1ポイント増)となり、2期ぶりにマイナス幅が縮小した。その一方で、建設業の「従業員数過不足DI」は2.5ポイント減の▲40.8となり、不足感が増している。
個別意見でも、「新築・リフォームとも受注があり現場数も多く、従業員、職人とも不足している。受注に波があるため従業員や職人の確保が難しい」「下請け業者の確保が非常に困難な状態。2024年問題と重なって大きな影響を与えている」といった意見が見られた。
同調査は、全国の中小企業1万8793社(有効回答数1万7679社)を対象に、9月1日時点の景況感を調査したもの。小企業の景気動向を総合的に把握することを目的に、全国商工会連合会などの協力を得て実施している。
「設備工事」は4.2ポイント増
「業況判断DI」(以下、季節調整値)を業種別に見ると、「設備工事」は▲9.3で前期比4.2ポイント増。「職別工事」は▲11.8で同2.8ポイント減、「総合工事」は▲8.7で0.6ポイント減となりマイナス幅が拡大した。地域別では、北海道、中国、九州・沖縄、東北、四国でマイナス幅が縮小。近畿、関東、中部でマイナス幅が拡大した。
個別意見では、「猛暑により空調関係の仕事の発注が多く出た」「地震の影響により個人宅からの受注が増えている」といった声が見られた一方で、「公共工事で売上高は順調に伸びたがその工事も終わり、今後は民間工事を主軸にして運営することになる」「物価高もあり、収益が悪化していく懸念がある」など不安の声もあった。
「原材料・商品仕入単価DI」は73.9で前期から2.4ポイント減少。一方で、経営上の問題点では「材料価格の上昇」(32.9%)との回答が最多となった。他にも、「従業員の確保難」(18.7%)、「熟練技術者の確保難」(7.9%)、「民間需要の停滞」(7.8%)などが問題視されている。
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