日建設計(東京都千代田区)は10月1日、北海道オフィス新社屋(札幌市)の建設を開始したと発表した。新社屋は、積雪寒冷地でのZEBの実現、DE&I、Wellness、木質建築などのテーマに取り組みながら、未来の社会環境をデザインする拠点とする。建築面積503.26㎡、延べ面積1382.57㎡。2025年11月に竣工予定。
RC造一部木造・3階建ての新社屋は、9月に建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)で「Nearly ZEB」の認証を取得。断熱性の確保、自然換気や自然採光、自然エネルギーの活用、高効率な空調・照明システムを組み合わせることで、省エネのみで基準一次エネルギー消費量の75%削減を達成した。太陽光発電による創エネを含めると87%の削減。省エネのみで「Nearly ZEB」を達成したのは、北海道の建築物で初という。
夏は外部に開いて冷涼な気候を活用し、冬は内部に閉じて逃げる熱を最小化するという、寒冷地の省エネの考え方・技術を積極的に採用した。西面の緑地に開いたガラスのインナーテラスを活用して冷暖房負荷を低減し、換気塔の煙突効果で自然換気を促進する。夏場は夜間に涼しい外気を取り入れ、立ち上がりの冷房効果を低減し、冬場は日射熱を蓄えた緩衝帯として暖房負荷を低減する。また、年間を通じて温度が安定している井水熱・地中熱を利用し、寒冷地の冷暖房効率を向上。井水を空調に利用することで、熱源機の運転時間を短時間に抑え(フリークーリング)、外気を地熱と熱交換させ予冷予熱(クールヒートトレンチ)を行う。
執務室内には、インナーテラスと階段上部のトップライトから自然光を採り入れ、健康的な光環境を創出。照明制御システムは、居住者の生体リズムに合わせたサーカディアン制御と、明るさセンサー制御、人感センサー制御で、照明消費エネルギーを最小化する。
室内に取り入れる外気は、室内から排出される空気と熱交換する全熱交換器を採用。在室人員にあわせて外気量を調整し、CO2濃度を制御する。中温冷水・温水を選択できる冷暖自由な空調システムで、季節の変化に柔軟に対応する。1階は井水熱を利用した床放射冷暖房を併用し、省エネ性と快適性を高める。
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