「イエづくりを通じてコミュニティを創出する」というビジョンを掲げる神馬建設(北海道浦河町)は、独自のインターンシップ制度を実践し、自社で家づくりの仕事をしながら持続可能な地域コミュニティづくりの一端も担う若者を全国から募っている。社長の神馬充匡さんは「いまの若い人たちは社会貢献に対する意識が高い。少しずつ、実際の採用につながる可能性も見えてきた」と手応えを語る。【編集部 関卓実】
同社が今年2月から始めたインターンシップは、マイナビなど就職情報サイトなどで「陸の孤島を救え!地方の魅力をSNSで発信」といった刺激的なタイトルをつけ、同社で建築・家づくりの仕事を体験しつつ、若者の町外への流出や過疎化に悩む地域のプロモーション活動にも参加するといったユニークな内容だ。交通費や宿泊費は同社が支給。参加した学生は、コミュニティスペースを備える町内のゲストハウスに7日間以上滞在しながら、他の宿泊者や町民らとも積極的に交流する。
これまでに建築・設計や家づくりの仕事、まちづくり(地域活性化)などにも興味のある、建築を学ぶ大学生や専門学校生らを中心に、2月に10人、9月に6人を受け入れた。2月に参加した10人のなかには、迷った末に最終的には帯広市内の設計事務所を選択したものの、同社の最終選考に臨み、内定に至った学生もいて、神馬さんはこの採用手法に手応えを感じている。9月に受け入れた6人は、明治大学(建築)や信州大学(同)、京都大学(経済)など全員が道外の学生だ。
学生がSNSで情報発信
神馬さんは「もちろん最終的に採用につながればうれしいが、そうならなくても未開の大自然が豊富に残る浦河町の魅力や町の人たちの温かさ、顔が見えるコミュニティでの暮らしの楽しさを感じながら、そこでの家づくりという仕事がどんな意味を持つのかを少しでも理解してくれればそれでいい」と笑顔で話す。
訪れた若者たちは滞在期間中、職場体験のなかでの町の情報発信(広報活動)とは別に、個人のSNSなどで日々のできごとや感想をこまめに投稿してくれるため、「それによる浦河町の知名度アップ効果はけっこう大きい」と神馬さんは笑う。実際に学生による発信の後、Instagramなど同社のSNSのインプレッションを確認すると、フォロワー外からのリーチが急激に増えるという。町のPRや社会貢献や地方創生にも興味を持つ若者との出会い、そうした若者を採用する機会創出・拡大、もしも採用につながったときには自社と地域コミュニティの担い手の確保の同時実現と、「一石何鳥もの効果がある」とする。
神馬さんは、このインターンシップの方法について・・・
この記事は新建ハウジング9月30日号4面(2024年9月30日発行)に掲載しています。
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