国土交通省は9月20日、2024年度の第2回「マンションストック長寿命化等モデル事業」の採択プロジェクト7件(PDF)を決定した。
同事業は、急増する高経年マンションの適正な維持管理や長寿命化に資する改修、建替えを促進する目的で、先導性の高いマンション再生プロジェクトを支援するもの。今回、マンションの長寿命化に資する新しい工法や材料、新機能の導入を行う「先導的再生モデルタイプ」で6件(計画・工事支援各3件)、管理水準の低いマンションが地方公共団体と協力して管理適正化を図る「管理適正化モデルタイプ」で1件が採択された。
計画支援では、マンション再生コンサル、設計事務所、管理会社などに年間定額(上限500万円・最大3年間)、工事支援では施工業者、買取再販業者などに費用合計の3分の1以内が支給される。
事例1:不適格マンションの建て替え
採択プロジェクトのうち「先導的再生モデルタイプ(計画支援)」では、「マンション下目黒苑」(東京都)が既存不適格マンションの建替えを検討。このマンションは1973年築の地上8階・28戸の小規模マンションで、竣工後に制定された高度地区および日影規制により既存不適格となっている。
2022年に用途地域の変更と地区計画が決定されたことにより、23年に建て替え推進が可決。ディベロッパーの協力が難しい中、現権利者が建替え計画を管理組合主体で作成している。地域防災やコミュニティ形成を考慮した建替えを行うなど維持管理に向けた工夫が評価された。
事例2:給水設備の改修
「先導的再生モデルタイプ(改修工事支援)」で採択された「サンコーポ唐湊」(鹿児島県)では、異なる給湯方式が混在する給水設備の改修工事を計画。1978年築の地上4階・地下1階、24戸のマンションで、これまで給排水管を更新していなかったことから漏水事故が頻発しているという。
今回、専有部分内にメンテナンスのための点検口・掃除口を設けた上で、居住者の4割が利用している電気温水器を撤廃。全戸ガス給湯に切り替える工事を行う。合意形成のための工夫として専有部分の水回りリフォームを同時提案した点が評価された。
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