親から引き継いだ家をどのように売却するか――。「家じまい」や「実家じまい」に悩む人が増える中、オープンハウスグループ(東京都千代田区)とLIFULL(東京都千代田区)は「家じまいに関する意識調査」を共同で実施し、このほどその結果を発表した。調査対象は、実家や生家の売却を経験した、もしくは検討している男女で、有効回答数は700人。調査期間は2024年7月22日~24日。
それによると、検討者が売却を検討する中で、心配なことや不安なこととして、最も多かったのが「希望の値段で売れるか」(37.6%)だった。2位以下は、「売却にかかる手間」(16.1%)、「何もわからないのが不安」(15.2%)、「売却や相続に関する税金関連の知識がなく不安」(14.0%)と続き、3人に1人が知識不足による不安を抱えていることが浮き彫りになった。
検討者に「売却に至っていない理由」を聞いたところ、1位が「特に理由はない、なんとなく面倒」(21.1%)という結果になった。「どんな不動産会社を選んだら良いのかわからない」が2位で19.4%。さらに、「情報は集めているが、検討をする時間的な余裕がない」(18.3%)、「家の扱いについて家族の意見がまとまっていない」(17.4%)、「家の片づけが終わらない」(16.3%)と時間的余裕がないという回答が上位となった。
この結果から、いかに手間をかけずに手続きを進められるかが、家じまいを進める上でのポイントとなりそうだ。家の片づけについては、早めの準備や家族、親族との話し合いが必要で、家じまいの際、家財をどうするかは今後の大きな課題になると言える。また、「なんとなく面倒」であるがゆえに対応が遅れ、「空き家」の発生につながっている課題もあらわになった。
検討者は「査定価格」、経験者は「信頼・信用」
家じまい経験者の売却方法については、7割以上が「不動産会社の仲介」(72.3%)と回答し、2位の「不動産会社の買い取り」(17.4%)に55ポイントほどの差をつけた。
会社選びのポイントについて尋ねたところ、検討者では「査定価格が納得がいく」(35.7%)が10ポイント以上の差をつけて1位だったのに対し、経験者では「会社が信頼できる」(21.4%)が「査定価格が納得がいく」(21.1%)を超えた。経験者は価格よりも信頼・丁寧さを重視していることがわかった。また、経験者においては「担当者の説明が丁寧」(11.4%)や「友人家族などの紹介」(11.4%)など、信用できるかどうかという項目に票が多く集まった。
この調査結果を踏まえ、LIFULL HOME’S 総研チーフアナリストの中山登志朗氏は、「長年住んでいた自宅・実家には思い出の品も含め多くの物があり、適切に処分・売却するには手間がかかる」とし、「家じまいが単なる売却とは意味合いが異なることを理解し、ビジネスライクになり過ぎずに対応してくれる不動産会社を見つけること、積極的に対応する不動産会社が増えることが求められる」と話す。
また、オープンハウスグループは、「空き家または空き家予備軍の放置は、治安・火災リスク・衛生面・景観面で多くの問題となる上、近隣家屋への損害のリスクにつながる。家じまいをひかえたお客様に寄り添ったサービス展開を行うことで、空き家に関する社会課題解決や、街のレジリエンス向上のSDGs達成に責献していく」とコメントしている。
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