国土交通省は17日、2024年の基準地価(7月1日時点)を公表した。景気の緩やかな回復に伴い、全用途の全国平均は1.4%伸びて3年連続のプラス。低金利環境の継続により住宅地は0.9%、インバウンド(訪日客)の増加で商業地も2.4%の上昇となった。三大都市圏以外の地方圏のうち、札幌、仙台、広島、福岡の主要4市を除いた「その他」の地域でも、全用途が32年ぶりに上昇に転じた。
東京、大阪、名古屋の三大都市圏では、住宅地、商業地のいずれも上昇率が前年より拡大。地方圏のうち、札幌など主要4市全体では、住宅地、商業地ともにプラスだが上昇幅は縮小した。「その他」では、住宅地の下落幅が縮小し、商業地の上昇幅が拡大したため、全用途がプラスになった。
都道府県別に見ると、住宅地で上昇したのは17都道府県で、前年から1団体減った。商業地で上昇したのは28都道府県で、6団体増えた。
住宅地は、低金利でマンションなどを購入しやすい状況が続いているのに加え、リゾート地で移住や別荘購入の需要が拡大した。商業地は、半導体メーカーの工場が進出する地域で大幅なプラス。観光地では外国人を含めた観光客の増加が地価を押し上げた。また、1月に発生した能登半島地震の被災地は地価が急落した。
新型コロナウイルスが流行する前の19年の地価(全用途)を上回った地点は、三大都市圏で約8割だったのに対し、地方圏は約3割にとどまる。ただ、地方圏はコロナ以前から長期下落傾向にあったため、国交省担当者は「コロナの影響からは全国的にほぼ回復した」とみている。
全国で最も地価が高かったのは、住宅地は6年連続で「東京都港区赤坂1の14の11」となり、1平方メートル当たり556万円(前年524万円)。商業地は19年連続で東京都中央区銀座2の6の7「明治屋銀座ビル」となり、4210万円(同4010万円)だった。
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