「SO 上質な日本のすまい2」(2023年11月発行)のテーマは、『自然と暮らす住まい・別荘』。風景に調和した住まい手の豊かな暮らしを支える住居や非日常を存分に味わう別荘を特集しています。今回は、本誌から建築家の手嶋保さんに解説いただいた「別荘建築の名作」を一部抜粋して紹介します。
手嶋 保 TESHIMA TAMOTSU |
1963年福岡県生まれ。1986年東和大学工学部建設工学科卒業。1990~97年吉村順三設計事務所。1998年手嶋保建築事務所設立。おもな著書に「住宅設計詳細図集」(2016、オーム社)、「伊部の家」原図集(2019、オーム社)、ほか。日本建築学会作品選集(2015川越の家、2018牟礼の家、2019三秋ホール、2020桜台の家)ほか受賞多数。 |
理想の別荘建築とはどのようなものだろうか。建築家・手嶋保さんに別荘建築についての基本的な考え方と代表的な別荘建築の特徴について解説をしていただいた。
もともと日本では、風光明媚な避暑地の自然の中で夏を過ごそうという発想はなかった。別荘文化とは明治期に欧米からの文化を受け入れる中で、入ってきたものだと思う。別荘は、日常の生活空間とは別の空間を所有するというものであり、「日常とは別の空間」という意味合いが大きい。だからこそ、そこに暮らす人の心の豊かさをあらわすものでなければならないと考えている。
別荘建築では重要な点が2つあると思う。ひとつは、地形・風景・気候風土などに順応して建築すること。特定のモデルに従うということでなく、場所の特性を考えることである。流行り廃りではなく、その場所を評価して、そこに人間の生活を盛り込んでいかなければならない。
もうひとつは・・・
この記事は新建ハウジング9月20日号12面(2024年9月20日発行)に掲載しています。
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