新築工事に伴う左官工事で、「10日かかる」と伝えていたところ、職人たちの段取りがよく、1週間で塗り終わった。建て主に報告すると「そんなに早く終わるのはおかしい! 手抜きでもしたか!」と予想外の反応が返ってきた。「喜んでもらえると思ったのに」と現場監督はびっくり。
その現場は、地域で何代も続く地主の家の建て替えだった。当時、現場監督を務めていたSさんは次のように振り返る。「棟梁だった父が先代からの付き合いもあって、受注できた仕事でした。本格的な入母屋の和風住宅ということで、壁も漆喰や珪藻土など複数の左官材で仕上げる凝ったものに。左官の親方とも着工前から段取りについてよく打ち合わせしたものでした」。
「こんなに早く終わるとは手抜きでもしたのか!」
養生の期間も含め、下塗り、中塗り、上塗りをすべて仕上げるのに見込んだ施工期間は10日。高齢の親方の体調や天候不順なども考慮して、施工面積にしてはややゆとりを取ったつもりだったという。
しかし、実際に現場に入ると、若手の弟子が要領よく施工を進めていき、壁下地や材料の調合なども手際がいい。天候にも恵まれたこともあり、1週間ほどで無事に左官工事が完了した。
「仕上がりもいいんですよ。これはいい仕事をしたなと親方も満足げ。私も意気揚々とお客様に報告に行ったのですが…」(Sさん)。
工事が早く終わったと聞いた建て主はけげんな顔。「10日はかかるはずだろう。左官工事はちゃんとやればそのくらいかかることくらい知っている。素人だと思っていい加減なことを言うな」とみるみるうちに不機嫌に。挙句には・・・
この記事は新建ハウジング9月20日号8面(2024年9月20日発行)に掲載しています。
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